令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
とっさの自然災害回避に失敗しても高額賠償
2016年10月26日
東日本大震災の集団津波被害があった大川小学校の関係の裁判で、一審判決が出て、学校を管理する石巻市などに高額の賠償責任が認められました。NHKニュースより。
東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校の児童の遺族が訴えた裁判で、仙台地方裁判所は「市の広報車が避難を呼びかけたのを教員らが聞いた時点で、津波が到達する危険を予測できた」と指摘して、石巻市などに対し原告全員に14億円余りの賠償を支払うよう命じました。
この事件は「大災害」と「人間の過失」とが重なって死亡が起きているわけですが、これがもし災害でなくて「Aの過失」と「Bの過失」とが重なって死亡があった場合には、AとBとで過失相殺が適用されるはずです。今回の「大災害」と「人間の過失」では、「大災害」のほうが死亡に寄与するところは大きいと思うのですが、自然現象だったという事情は考慮されないままに全責任を人間の過失に負わせるという判断は、直観的には公平な判断とはいい難いと思っています。最高裁が判例でコントロールすべき部分だと常々感じています。