書類送検について

 実は「書類送検」の報道ほど、意味の薄い報道はありません。

 まず、医療事故に警察の捜査が入る原因は、医師が異常死としてで届け出たからか、あるいは患者家族が警察に事件として届けたからかのどちらかと考えられます。

 そして警察がそれを事件として受理した場合、必要な捜査が終了した段階でその結果を検察に送ることになっており、これを一般的に書類送検と言っています。

 つまり、警察が事件を受理して捜査をすれば、原則として結果に関わりなく書類送検される日が来るということです。しかも医療事件ではその書類送検の際に、多くの場合「不起訴相当」という意見も付けられて送られるようです。なので医療事件の書類送検などというものは、ほとんどの場合ニュース性なんてないものです。それを普通の事件と変わりなくさも悪いことをしたかのように報道するのは愚の骨頂です。

 また、このような事件の場合、民事裁判の途中あるいは終了後に、書類送検の報道がされることがあります。これは、事件の時効の半年前くらいに書類送検のタイミングがあるからだという話があります。例えば時効が5年の事件の場合、4年半くらいで書類送検されることがあり、この場合民事裁判などの進行との関係で、「なにをいまさら…」と思わせることがありますが、深い意味はないということになります。

 「書類送検」にびっくりする必要はありません。

平成20年5月5日記す。


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