腰椎圧迫骨折保存療法訴訟

  事件番号 終局 司法過誤度 資料
一審東京地裁 平成17年(ワ)第6878号 和解 微妙 証人尋問メモ
その1 その2 その3 その4

 腰椎圧迫骨折に対して,入院させて保存療法(安静を主とする治療法)を行ったところ,痛みがなかなかとれず治りが悪いなどとして中途退院した患者が,他院にてセメント注入療法という特殊な治療を受けたところ痛みが取れて動けるようになったことから,最初の病院の治療が不適切だったとして訴えた事件。

 セメント注入療法というのは,日本では一般的な治療ではないようですが,それが優れた治療だと信じて疑わない医師が原告側協力医となり,被告病院の治療は不適切だったと主張しています。

 しかし,腰椎圧迫骨折に対して保存療法を行うことはごく一般的な治療法とされているようで(こちら),これが責められる謂われはないでしょう。このような標準的な治療法に対して,特異な治療を推進する立場から批判することは,学会でやるならまだしも,少なくとも裁判所でやるべきことではありません。

 この裁判では,原告側協力医が医学的紛争を裁判所に持ち込んだことも問題ですが,それ以前に原告側弁護士がこの事件を裁判所で解決できると思ってしまったこと自体が問題だと思います。原告側協力医による被告病院批判の中に,被告病院の法的な過失を認められるような理由はないことくらい,ちょっと勉強すればすぐわかると思うのですが,どうもそれができていないように感じます。

 まだ判決が出ておらず(平成20年8月27日現在),勝負は下駄を履くまでわかりませんが,予想通りの患者側敗訴あるいは和解金のないゼロ和解であれば,原告側弁護士による弁護過誤とすら言えるのではないか,と考えています。医師免許を持っているからといって,目医者が行き当たりばったりで胃の手術などして 上手くいかなければ医療過誤と言われるのですから,不勉強による当然の敗訴を弁護過誤と言われても,受忍する覚悟はあることでしょう。

是非,証人尋問メモその1その2その3その4をご覧ください。

平成20年9月7日記す


結末(終局)

 最終的に,この事件は和解しました。和解金のないゼロ和解です。ただし,この事件では患者側が病院側に治療費を支払っていなかった(約70万円)として,あとから病院側が患者を訴えており,その治療費の請求も放棄することとなりました。本来なら,この約70万円は,病院側に支払われてしかるべきものですが,これが和解というものなのでしょうね…

平成21年1月4日記す,同年2月1日修正


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