腰椎圧迫骨折保存療法訴訟

(事件番号平成17年(ワ)第6878号,概略解説,証人尋問メモその1その2その3その4)

証人尋問メモその4

(注:これは基本的に傍聴した際の筆記メモであり,厳密に尋問を書き起こしたものではありません)

被告本人に対する反対尋問


原告側代理人(本橋光一郎)
7月5日初診時,叩打痛の確認はしているか?
------ している。上のほうから順に叩く。

乙A1号証2枚目には,叩打痛の記載がされていない。
------ 記載がもれている。

記載していないが,叩打痛の確認はしたということか? 重要なことではないのか?
------ 当然のことなので書き忘れたと思う。

叩打痛は大きな骨を叩いたのか?
------ 12個数えるわけではないが,3~4回叩いた。

7月5日にレントゲンを撮って,いつそれを見たのか?
------ 覚えていないが,普通はレントゲンを撮って診察に回ってくるから,診察時に見ている。記載が無いということは,変な場所(の異常)ではないということ。

乙A6号証(7月5日)。第4腰椎に骨折を考えたか?
------ 第4腰椎は誰が見てもわかる。1ヶ月なら白くなる。5年も前なら元に戻る。ごく古いかごく新しいかのどちらかだ。1週間も経つとまずわかる。1週間経ってからもわからないものはまず無い。

第4腰椎以外に骨折がありうるとは考えなかったのか?
------ 上部を叩いて叩打痛が無かったのだと思う。下のほうだけなので書かなかったと思う。うちでは,上,真ん中,下という程度だ。厳密にやっても,(厳密に試した)京都(武田病院)でもはっきりわからなかったくらいだ。(=厳密に調べても,診察とMRIと実際の処置の場所がバラバラだ)

第4腰椎と考えたのか?
------ あらゆる可能性を考えるが,第4腰椎と考えて矛盾しない。

MRIは?
------ すごい数の患者がいるが,全員にMRIはしない。それは無理な話で経済的にも無理だ。事情があれば別だが,疼痛が軽ければMRIはしない。

MRIを頼める病院はあるのか?
------ ある。

他の疼痛は?
------ 大腿部,臀部,股関節周囲。

大腿部痛とか股関節周囲痛は,どういう原因で出やすいか?
------ 恥骨骨折,大腿骨周囲,大転子部とか小転子部の小さい剥離骨折,腰痛の関連痛もある。神経根症なら上位腰椎。関連痛なら下部腰椎もある。

第4腰椎圧迫骨折。新鮮または陳旧骨折で,疼痛はどうなるか?
------ 陳旧ならば第4腰椎は変化しない。1~2週間で「打撲でしたね」で退院になる。今回は3週間で初診で,第3腰椎ではないと判断している。(??)

乙A30号証(8月31日)では第3腰椎圧迫骨折がある。乙A6号証(7月5日)では第3腰椎圧迫骨折は無い。この間に圧迫骨折が進行したのか?
------ 17日(証拠番号不明)では骨折があり,10日(乙A25号証と思われる)ではわずかだ。この1週間前,8月初旬か7月末の骨折と考える。

乙A2号証29ページ(カルテ or看護記録),7月5日に,体動時腰痛,右大腿部疼痛とある。甲A31号証,7月9日に,右大腿部疼痛あり,とある。これは関連痛か?
------ はい。

その関連痛はどれ?
------ 入院直前に第4腰椎骨折だから,それのか?

第3腰椎,第1腰椎の骨折での関連痛とは考えないか?
------ 出てもおかしくは無いが。

乙A2,43ページ。7月29日19時,右大腿部痛自制内。腰痛あり,7時,腰痛あり。とある。それ以前には腰痛に関しては記載が無かったがどう考えられるか?
------ この日を境に出ているから,骨折が出ている。

どこの骨折か?
------ 結果的には第3腰椎だった。その時点ではあらゆる可能性を考える。

医師としてどうするか?
------ 比較的軽い疼痛なら,週一回経過観察で十分。実際十分だった。

7月5日の疼痛は?
------ 腰痛±というのは,軽い腰痛のこと。体動時に出る疼痛だ。

7月5日の初診時の疼痛は軽かったのか?
------ そうだ。

原告は,当日も立ち上がれないほどの激痛があったと言っているが。
------ 多分立ち上がるときのいたたたたという痛みだと思うが,それ以上

8月5日にはマックスベルトをしているが。
------ 8月上旬に疼痛が強くなったことに対して装着した。圧壊を止める力は無い。

7月下旬あるいは8月上旬に圧迫骨折があるとわかれば,治療は違ったか?
------ いや,疼痛を取って経過観察でよい。魚椎変形が無いのでいずれにしてもギプスは巻かなかった。

第3腰椎については圧迫骨折がある。7月5日から8月31日の入院中に進行したのか?
------ その間に発症した。

防げなかったのか?
------ 潰れるのは仕方がない。ギプスを巻いても進むものは進む。どの整形外科医が見ても巻かないと思う。

こんなに進行しなかったのでは?
------ これはうまく治っている例だ。すごい激痛ならギプスを巻いてもいいかもしれないが。軟性コルセットで疼痛が取れているので十分だ。

第3腰椎は治ったと考えるか?
------ 退院直前に癒合していたと思う。

あなたから退院を指示したか?
------ 息子がつれて帰ったみたいだが。

疼痛があって状況が変わっていないから退院したのでは?
------ たぶん痛みはだいぶ落ち着いて,痛みが強くなってないので退院した。痛かったら退院しないか店員。痛みが落ち着いて,もうつれて帰りたいということで,じゃあ結構ですという話になった。最後は。

小野本裁判官
乙A30,32で,川西医師は3重線があると言うが,先生の見解は?
------ 3重線…うーん,ちょっとわからないが,3重線はあまりさがさない。前方の壁を見る。

先生は魚椎変形は注視しないのか?
------ 魚椎変形ならむしろ安心する。あまり治療が必要ないので。

激痛や魚椎変形がすごいスピードで進行するとかでない限りは。
------ 疼痛が少なければ,進みにくい。前方の壁を見て,進行が無ければよい。

松本裁判官
叩打痛確認。圧迫骨折があって叩打で確認できないものはあるのか?
------ 無いと思う。新鮮骨折。叩打痛無しなら圧迫骨折無し,とは言える。

ギプス固定を考えるのは進行するときか?
------ そう。そういうのは疼痛が激しい。レントゲンでわかる。そういう例ではギプスを巻く。

そういう例では前壁が潰れる?
------ はい。進行が早いと思えば5日後に来てもらって撮ってみる。1週間1mmで,1週間ごとに見てギプスを巻けば20mmに抑えられると。

村田裁判官
レントゲンは進行判断と,前方壁を見るのか?
------ 前方の壁ははじめの1枚で見る。あとは進行を追う。ずれてこないかを見る。

入院する必要があると判断した理由は?
------ 知っている医師の息子の医師の紹介で。紹介なので入院させた。嫌がればさせなかった。(うちのような街の診療所では)社会的な入院もいる。本当の大きな病院の入院適応とは違う。

起床時,動作時の疼痛は取ろうとしないのか?
------ 動作時の疼痛は取れない。例えば,痛み止めを飲んでもつねれば痛い,というのと同じ。寝てても痛いとなれば別だが。


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