腰椎圧迫骨折保存療法訴訟

(事件番号平成17年(ワ)第6878号,概略解説,証人尋問メモその1その2その3その4)

証人尋問メモその2

  通常なら原告側意見医に対する主尋問(原告側弁護士からの質問)に続いて,反対尋問(被告側弁護士及び被告本人からの質問)がされるのですが,この日は変則的に,被告本人に対する主尋問(被告側弁護士からの質問)が行われました。 なおこれは被告「本人」に対する尋問であり,厳密には「証人」尋問とは言いません。

(注:これは基本的に傍聴した際の筆記メモであり,厳密に尋問を書き起こしたものではありません)

被告病院医師本人への尋問です。


被告代理人(鎌倉一輝)

乙A42号証:平成16年11月26日CTの拡大コピー。どうして拡大コピーをしたのか?
------ これだけ見ると圧迫骨折が問題なく治っている。腰痛が残るのは,偽関節。これを見るとアラインメントがきれい。このCTを見ると後遺症が残るとは思えない。結果が良い。これは偽関節はない。これにセメント固定をするのは乱暴だ。

乙A42号証を見てどうか
------ 第11胸椎に圧迫骨折がある。これを見ると前方と後方の高さが同じであり,楔状変形がない。ほとんど陥凹がない。

骨融合は?
------ 進んでいる。最低でも3週~4週経っている。

第1腰椎には?
------ 圧迫骨折がある。

破壊は?
------ 前方が後方の70%くらい。21mmくらい。軽い楔状変形がある。50%がボーダーで,楔状変形が残る。本当に困る人は1cm以下である。この人は圧壊としてはうまく残っている。

第11胸椎の骨折は?
------ 3~4週前

第3腰椎は?
------ 前方と後方の高さが同じ,29mm。楔状変形はない。後遺症もない。中央陥凹圧壊は25%。当院でも診断されていた。陳旧性だ。

第4腰椎は前方,後方がつぶれているか?
------ 楔状変形はない。今回は神経症状もない。比較的問題がない。

第4腰椎は被告病院でも診断した?
------ 入院時にしている。6月中旬~下旬の骨折で,7月に癒合した。

第2腰椎は?
------ 上のほうは白く固くなっている。第3腰椎のようになり,軽く圧迫骨折している。心配はない。うちの病院の入院時のレントゲンにはない。退院後の骨折だ。

第11胸椎と第1腰椎は,第2腰椎と同じく退院時(?)にはなかった?
------ なかった。疼痛もなかった。偽関節無しなら6週間で。11月中旬~下旬の骨折ではないか?

第11胸椎~第1腰椎,第2腰椎に偽関節は?
------ ない。偽関節は骨硬化が進んでできる。T2強調でわかる。

アラインメントに崩れはないか?
------ 唯一アラインメントに影響するのは第1腰椎の楔状変形だが,許容範囲だ。この写真はアラインメントは良い。

CT撮影時の疼痛は?
------ 外来でギプスなしでもありでも,軟性コルセットでも6週間で疼痛が減る。偽関節にならなければ。当院で確認されていない骨折では第11胸椎,第1腰椎,第2腰椎。第11胸椎,第2腰椎は形が良い。第1腰椎が骨折で強い疼痛。6週以内だ。

セメント注入の適応は?
------ 動いて疼痛ありの場合,動いて変形ありの場合には適応がある。日本では時間をお金で買うという考えがあるが,本当は偽関節が適応だ。そうすると第11胸椎と第3腰椎は適応外。第1腰椎は疼痛があり,骨折から4週なら疼痛があるが,治療せずに70%残っている。これでセメント注入は乱暴だ。

被告病院での疼痛は?
------ 大腿部痛,腰痛,臀部痛。圧迫骨折の疼痛の中では軽いほう。起き上がるときに疼痛があるが,あとは大丈夫だった。寝返りでの疼痛などではない。7月上旬~7月下旬にかけて疼痛が軽くなった。7月終わり~8月はじめに腰痛が重くなった。経過観察しながら軟性コルセットを使用した。売っている軟性コルセットは伸びるので,うちの簡易コルセットはキャンバスを張って動かなくしてある。硬性コルセットの効果はないが,疼痛はとれる。

8月18日に軟性コルセットを正式に装着したが,疼痛は?
------ 軽くなった。8月下旬にかけて軽くなった。

原告の疼痛をどうやって確認したか?
------ 回診と看護士の申し送り,リハビリの立会いで。

回診では直接話を聞いているか?
------ はい。

申し送りは?
------ 看護士が読むのを聞いている。

叩打痛の確認は?
------ 必要なときに叩いたりしている。

叩打痛はレントゲン透視下で確認すべきと川西医師は言うが?
------ 普通どこを叩いているのかはわかる。放射線を浴びてまでやる必要はない。叩打痛で何番(椎体)とすぐわかるわかるわけではない。

乙A6(7月5日レントゲン),乙A25(8月10日),乙A30(8月31日),乙A32(9月8日)を示す。
------ 第11胸椎はどの写真もしたから撮っている。全体を通じて圧迫骨折を疑う所見はない。第1腰椎も同じ。第3腰椎は8月31日には明らかに陥凹している。8月10日の写真で上がほんのわずかに落ちている。7月おわりか8月はじめに発症した。前方が前に出っぱっている。第4腰椎は明らかに7月5日に圧迫骨折がある。8月10日,8月31日には白く硬くなってきている。高さも小さくなってきている。白くなるのは3~4週。治りかけであり,おそらく6月中旬~下旬に発症。7月には疼痛が取れてくる。7月下旬~8月上旬に治る。

入院当初の診断は?
------ 圧迫骨折。陳旧性または急性のどちらであるかは不明。疼痛は強くない。経過観察の適応。進行が遅くて疼痛が強くないので,あわててギプスを巻かない。

第3腰椎は8月10日と8月26日でどうか?
------ 乙A25号証(8月10日)では第3腰椎はごくわずかの変形。乙A30号証(8月31日)では魚椎変形で中心がつぶれている。前方の高さは30~29mm。ギプス固定の適応はない。乙A32号症(9月8日)ではさらに白くなっていて,骨硬化増強。7月30日発症で6週間なら,付いてきた頃だ。

治療は順調か?
------ はい。

川西医師は乙A5で第11胸椎は18mmと主張しているが。
------ 斜めに撮れているので第4腰椎上縁中心だ。

乙A6号証(7月5日),第11胸椎椎体上縁も下縁も楕円に写っているが,小西医師は下縁左端と上縁右端を測っている。これはどう間違っているか?
------ レントゲンで一番近い部分を測っている。魚椎変形のときは線が3本に見えるときもある。重なれば2本に見えるときもある。l

乙A15号症(7月12日)と比較すると第11胸椎は?
------ (7月12日には)真横から撮れている。

中央部分の高さは?
------ 椎体は潰れていない。魚椎変形はない。二重線になっていない。24~25mm。中央部分もだ。

それに対して川西医師は,7月5日でも魚椎変形があるというがそれは誤りか?
------ はい。

治療方法について。川西医師はギプス,硬性コルセットだというが。
------ 必要ない。巻かない例のほうが多い。ギプスの目的は圧壊率増加での後遺症対策。圧壊が進みそうで疼痛が強い場合が適応だ。ギプスにはデメリットもある。

デメリットとは?
------ 硬い。皮膚が負ける。疼痛が軽い人に巻くと嫌がられる。却って偽関節を作りやすくなる。長期間巻くと逆に他の骨に骨粗鬆を来たす。イレウスを来たす。心臓発作の場合などに処置が遅れる。症例を選んで巻いている。

他にも軟性コルセットは?
------ 川西医師の著書には,70歳で30%の人が(圧迫)骨折をしていると書いてあるが,みんなが巻いているわけではない。僕はどちらかというと圧迫骨折が進みそうな人にはギプスを巻かない。

原告については?
------ 進行がなく,疼痛も軽いので,第4腰椎については適応はなかった。第3腰椎は8月に。魚椎変形でも前方の高さは残っていたので,ギプス適応はなかった。

(注:軟性コルセットは8月に巻いている)


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