腰椎圧迫骨折保存療法訴訟

(事件番号平成17年(ワ)第6878号,概略解説,証人尋問メモその1その2その3その4)

証人尋問メモその1

(注:これは基本的に傍聴した際の筆記メモであり,厳密に尋問を書き起こしたものではありません)

証人 川西昌浩(武田総合病院 脳神経外科部長,大阪医科大学准教授)


原告代理人(本橋光一郎)
武田病院における 原告初診は?
------ 平成16年11月26日

それ以前に連絡があったのか?
------ 家族からあった。

やりとりは?
------ 圧迫骨折で近医(被告病院)に入院したが,痛みがとれないのでネットで調べた。MRIを送れと指示した。第3腰椎, 第1腰椎, 第11胸椎に新しい骨折を認めた。希望なら武田病院に来いと。

平成16年11月26日初診。
------ 患者はストレッチャー。疼痛強い。腰背部。息子と話をした。痛みとMRIが一致した。未認可の治療があると伝えた。11月30日,経皮的椎体セメント注入施行。

その後は?
------ 疼痛取れて,帰りは歩いて新幹線で帰った。

被告A病院の診療の問題は?
------ 初期診断の不十分さと治療の不十分さ。

A病院の平成16年7月の初診?
------ カルテを見ると,身体学的に圧迫骨折を同定できていない。腰背部痛とは書いてあるが,どの骨が具体的に折れているかが書いていない。不十分な記載だと思った。

A病院の初診カルテの問題は?
------ 問診上の所見,腰痛の所見,圧迫骨折だけでないがそれを疑えば体動時痛など,書いていない。レントゲン第4腰椎骨折は書いてある。圧迫骨折だろうと,カルテから読み取った。

疼痛ありの場合の入院のとき,初診のポイントは?
------ どういうときに痛みがあるか。下肢痛の有無,腰椎骨折なら叩打痛。

骨折なら叩打痛についてカルテを書くか?
------ はい

乙A1号証(カルテ)には記載がないか?
------ ない

通常なら,高齢者の圧迫骨折については,さらにどのように診断を進めるか。
------ 大腿部痛+と書かれている。第4腰椎での大腿部痛は考えにくい。レントゲンから第4腰椎は陳旧性骨折。他の部分の骨折の可能性が高い。うちの病院ならMRIを撮る。

MRIをとらないと圧迫骨折を見つけにくいか?
------ はい。レントゲンだけでは専門医でも見逃す。MRIならわかる。

骨折ならわかるか?
------ はい,すぐわかる。押していくとすぐわかる。

その後のレントゲンも見て,7月5日の初診時はどんなであったと考える?
------ 第4腰椎陳旧性から骨融合になりつつある。老人ならゆっくり変形する。他にも折れているのではと考えたか?

7月5日には他にも骨折が?
------ MRIがないので不明だが,問診からそう思う。

どこにあるか?
------ 胸腰椎移行部。第12胸椎~第1腰椎,第2腰椎

乙A6,30,32を示す
------ 第4腰椎変形あり。

古いもの?
------ はい。触れば疼痛なし。MRIを見ればわかる。

乙A30,8月31日のもの。
------ 第3腰椎は上の形がへこんできている。第1腰椎は上下の端の線がへこんできている。圧迫している。

7月5日から8月31日まで,レントゲンをとっても圧迫骨折は進行している?
------ はい

乙6(7月6日)でも第3腰椎,第11胸椎骨折していた可能性がある?
------ はい

レントゲンがなくても?
------ はい。よくあること。

MRIならわかる?
------ はい。

MRIをとっていないが,7月5日初診時にもあった可能性がある?
------ はい。

なぜ?
------ 臀部,大腿部疼痛,椎体骨折の関連痛をずっと訴えている。

どの辺に疼痛が出やすいか?
------ 一般には臀部。第3腰椎なら股関節から大腿前面。

乙A2(おそらくカルテ).7月8日LBPとは?
------ Low Back Pain。腰痛だとおもう。

その左側の記載は?
------ 判読できないが,…thich pain。大腿前面の疼痛。

どういう?
------ 圧迫骨折なら上位腰椎に関連。

7月15日にも同様の記載がある。

村田裁判長
7月8日,LBP±と書いてあるが,±では,あるかないかわからないのでは? LBPありという前提で証言されているのか?7月15日のところにもLBP±とかいてあるが,証人は+と考えた?
------ はい

原告代理人
乙A2,4ページ。7月19日,第11胸椎記号は継続している?
------ はい。

7月26日にも?
------ はい。

乙A2看護記録29ページ。7月6日の欄。「疼痛,体動時に臀部痛+」。7月9日の欄「右大腿部痛あり」とある。これらは圧迫骨折の一つの症状?
------ はい。

周辺に疼痛があるのは圧迫骨折のため?
------ そう思う。

圧迫骨折診断されたときの治療は?
------ 即日外固定。キャスト(胴ギプス)。巻けないときは硬性装具をガチッとつけてしまう。キャストができるまでに1週間~10日かかる。硬性装具を揃えておいて巻く。

軟性コルセットとは違うか?
------ (硬性装具で)ガチッと固める。軸が固定する。早期治療が奏功しないと悪化が進行する。

被告は11月にマックスベルトをつけている。これは何?
------ 腰痛の一般人がつけるもの。通販などで売っている。

マックスベルトは有効か?
------ 外固定を得られない。

被告は1ヶ月してから軟性コルセットを巻いているが。
------ なぜもっと早く巻かなかったかと思う。

それは軟性コルセットで良いと言うことか?
------ 硬性が望ましい。

甲B3,文献。高齢者の胸椎,腰椎圧迫骨折について書かれている。これは比較的通常の治療か?吉田整形外科の吉田先生が書いている。要点は?
------ 圧迫骨折は外固定。MRI撮影。2~3日後に再診。

乙A2,43ページ。看護記録。7月29日(?),右大腿部痛,腰痛増加。
------ この時点で再び違う骨が骨折したと思われる。高齢者の圧迫骨折は,コケて起きるものではない。勝手に折れる。後方視的に見れば圧迫骨折が起きた。

その時点でMRIなどは?
------ うちの病院ならこの時点でキャスティングをする。

7月29日には腰痛が出ている?
------ はい。

圧迫骨折の進行?
------ そう考えられる。

本件圧迫骨折が第3腰椎,第1腰椎,第11胸椎のどういう順序で起きたか?
------ レントゲンを後方視的に見れば,第3腰椎→第1腰椎→第11胸椎

MRIで後方視的に見ると7月5日に第3腰椎,第1腰椎,第11胸椎に骨折があった可能性は?
------ カルテに身体所見が書いていないのでわからない。LBPだけでは断定できない。

その時点でMRIがあればわかった?
------ はい。

7月29日では当然もっとわかる? 看護記録に疼痛と。
------ この日から疼痛が連続している。それまでははっきり書いていない。新たな骨折が考えられる。

診断は?
------ 7月29日以降ならできる。

7月5日でも検査していたら診断できる?
------ はい

軟性コルセットも遅かった?
------ はい

硬性コルセットのほうが良い?
------ はい。2~3日で疼痛が取れることが多い。

診断,治療が遅かったか?
------ はい。


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