医療裁判傍聴記

医療裁判傍聴および記録閲覧を通じて得た知見をはじめ,その他裁判関係の話題をご紹介。このブログでラフ・スケッチを掲載し,後日正式記事としてまとめた場合は,拙サイトの医療裁判・医療訴訟コーナーに上梓します。

とっさの自然災害回避に失敗しても高額賠償

2016年10月26日

東日本大震災の集団津波被害があった大川小学校の関係の裁判で、一審判決が出て、学校を管理する石巻市などに高額の賠償責任が認められました。NHKニュースより。

東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校の児童の遺族が訴えた裁判で、仙台地方裁判所は「市の広報車が避難を呼びかけたのを教員らが聞いた時点で、津波が到達する危険を予測できた」と指摘して、石巻市などに対し原告全員に14億円余りの賠償を支払うよう命じました。

この事件は「大災害」と「人間の過失」とが重なって死亡が起きているわけですが、これがもし災害でなくて「Aの過失」と「Bの過失」とが重なって死亡があった場合には、AとBとで過失相殺が適用されるはずです。今回の「大災害」と「人間の過失」では、「大災害」のほうが死亡に寄与するところは大きいと思うのですが、自然現象だったという事情は考慮されないままに全責任を人間の過失に負わせるという判断は、直観的には公平な判断とはいい難いと思っています。最高裁が判例でコントロールすべき部分だと常々感じています。

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平田直人裁判長が、また無理を強いているのではないかと心配です

2016年9月10日

認知症の女性が徘徊して死亡した事件で、入居施設に責任を認めた事例が出ました。読売新聞 9月10日(土)付です。

 認知症の女性(当時76歳)がデイサービス施設を抜け出し、徘徊(はいかい)中に死亡したのは、施設側が注視義務などを怠ったためだとして、女性の遺族が施設を運営する社会福祉法人新宮偕同(かいどう)園(福岡県新宮町)を相手取り、約2960万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、福岡地裁であった。

平田直人裁判長は「女性の動静を見守る注視義務を怠った」として、同法人に約2870万円の支払いを命じた。

判決によると、女性は2014年1月、通所中の施設を抜け出し、3日後に施設外の畑で凍死しているのが見つかった。女性はアルツハイマー型認知症と診断されていた。

平田裁判長は「女性には徘徊癖があり、施設側は警戒すべきだった。すぐに警察に通報するなど最善の対応も取らなかった」などと指摘。「女性が抜け出すことは予見できなかった」とした施設側の主張を退けた。

事実経過については、裁判記録を閲覧するか、少なくとも判決文を見ないと分からないのでなんとも言えませんが(報道だけで内容を勝手に推察してものを言う谷直樹弁護士のような方もいらっしゃいますが)、以前に平田直人裁判長が指揮した事件で非常に問題のある事例を見たことがあり、また同じようなことをやっているのではないかと心配になりました。

事件記録をしっかりと見てみたいものです。

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最高裁の医療側逆転勝訴判決が、裁判所判例集に収載されない

2016年9月8日

平成28年7月19日に、最高裁で(わたしの知る限り)久しぶりに医療訴訟の判決が出ました。以下のように報道されています。

手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄-最高裁

 

なかなか興味深い事例で、裁判所判例集に収載されるのを待っているのですが、一向に収載される気配がありません。しびれを切らして、自ら記録の閲覧に行ってくる予定です。

ここからはちょっと専門的な話になってしまうのですが、この報道を読む限りでは、「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」という平成23年2月25日第2小法廷の判例に違反したと読めるのですが、しかしながらこの事件の最高裁での事件番号は平成26年(オ)第1476号となっています。最高裁判例違反を理由として上告審を求める場合には、上告理由とはならず上告受理申立て理由として認められることから、そうであれば事件番号は「(オ)」ではなく、上告受理申立てされたことを示す「(受)」が付されるとかんがえられるのですが、そうはなっていません。この点どのように処理されたのか、非常に興味深いところです。

高裁の判決文は既に閲覧しており、総じてレベルの低い(と言うか患者側主張を丸写したような)判決文になっているのですが、特に気になったのは次の点です。1)医師の注意義務違反について、「術後出血の徴候が認められたら速やかに頭部CTを行って、出血の有無を確認すべきだった」との旨を述べる一方で、「術後の容体の変化をある程度時間をかけて観察しなければ・・・容易ではなかった」と、ある程度時間をかけて観察することもやむを得ない旨述べており、この点が理由の食い違いがあるとも取れること。2)因果関係は認めていないながらも、過失が無ければ障害の程度を少なく抑えることができた可能性があるとしており、形式的には適切な医療を受けられなかったことに対する期待権だけによる責任認定になっておらず、報道の最高裁判示と整合しないこと。

これらについて、よく確認してきたいと思います。

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やっぱりトンデモだった静岡羊水塞栓症訴訟

2016年8月25日

以前に記した、富田善範裁判長が法廷で述べたことと判決文とが全然違っていた静岡の羊水塞栓症訴訟ですが、記録閲覧をして内容を検討しました。やはり非常に無茶な内容でしたので内容を紹介いたします。静岡羊水塞栓症訴訟(富田善範裁判長の不適切訴訟指揮)、こちらからご覧ください

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「悪徳弁護士」と言っちゃあさすがにダメだろうなぁ・・・

2016年7月2日

2016年6月30日の傍聴、事件番号は東京地裁平成27年(行ケ)第53号。原告名と被告名から、弁護士の懲戒処分取消請求の事件と思われる事例。同じ時間に医療訴訟があったけれどもそちらは美容外科の事例のようで、先に懲戒処分取消請求の事件をチラ見してみることにした。

 

原告は弁護士だが代理人もつけている。原告側の証人二人と、原告本人(=弁護士)の尋問。原告側の証人は原告本人にお世話になった依頼者とその関係者。証人の尋問からは、原告本人は真面目で真摯に仕事しているように思われて、なんでこれで懲戒請求食らうかな~、と思いながら、続く原告本人(弁護士)に対する尋問を聴いていたら、最後のほうでその答えが判明。

 

とある事件の準備書面で相手方弁護士のことを「悪徳弁護士たる◯◯弁護士」と書いてしまったらしい。さらに「訴訟詐欺的活動」とも書いたとか。

 

・・・それを言っちゃあ、さすがにダメっすよね。検索してみると、受けた懲戒は戒告だったようですが、ひっくり返るものでもないでしょうに・・・

 

こういう事例をみれば、弁護士であっても本人が処分を受けたとなれば戒告程度の処分であってもこれだけ抵抗するのだから、医師が自分では非がないと思っているのに過失を追求されたらどれだけ抵抗したくなるか、法律家の方々にもよくわかってもらえるものと思います。

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