2013年2月の記事

泉徳治元最高裁判事が、最高裁裁判官国民審査制度に否定的見解

2013年2月20日

法学セミナーという雑誌の2013年3月号。巻頭言として、泉徳治*元最高裁判事の「最高裁裁判官国民審査制度は存続すべきか」という記事が掲載された。

氏の見解のもっとも重要な部分は、「裁判官は、国民の多数派が反対しても、個人、特に少数派に属する人たちの憲法で保障された人権を守るという役割を担っている。「yes」か「no」の投票で、任命の可否を決することはふさわしくない。」という部分だと思う。そして素人の私も、まさにそのとおりだと思う。

しかしながら、大橋弘トンデモ訴訟指揮事件での上告審のように、最高裁であっても、基本姿勢を誤った審理をすることがあるらしいことを見てしまった私としては、いくら最高裁とはいえ最高裁というだけで全幅の信頼をおけるものとは言えず、まずありえないとはいえ、万が一の場合に発動可能な安全弁があることは、無駄のようには見えても、一応の意味があるのではないかと思った次第。

氏が「我が国が「×」記号の記載のみを求める方式を採用したことは、賢明な選択であった」と評するように、このあたりが現実的な落としどころということで、良いのではないだろうか。正直、この件についてはそっとしておくのがいいように思うばかりである。

*正しくは「泉德治」(「徳」が旧字体)

このエントリーをはてなブックマークに追加

医療裁判・医療訴訟
医療裁判傍聴ブログ新着記事: 父の診療を担当した医師(息子)が、姉妹から訴えられた事例 | 「頑張れる自信が全く無いですよ」 | 腹部大動脈瘤の有無を疑い、検査を追加すべき義務? | 鼻の整形手術後死亡事例の訴訟、一審の認定事実抜粋 | 癒着を剥がそうとすると出血する脳動脈瘤をクリッピングした際の合併症で争われている事例 |
★基礎編: 医療事故を裁判で裁くのは好ましくありません | 裁判傍聴の方法 | 裁判記録閲覧の方法 | 書類送検について | 医療訴訟の原告の方へのアドバイス | 医療訴訟の患者側勝訴率が急低下 | 裁判官の方々へのメッセージ | 「業務上過失人権侵害罪」の立法を | 沖田光男さん痴漢誤認逮捕事件の差戻し審判決に思う | 医療訴訟の現状と問題点 | (HTML版はこちらから) | 訴訟記録閲覧時のメモ取り行為と,裁判の公開原則,レペタ裁判の関係 | 宮川光治裁判官の余計な一言 | 手術の合併症と法的過失 | 画像検査の見逃しと法的過失
★事件編: 東日本大震災トリアージ訴訟妥当 | 抗癌剤内服拒否死亡事件妥当妥当 | クルーズ船脳出血発症緊急搬送訴訟 | 高松三つ子緊急帝王切開訴訟 | 静岡羊水塞栓症訴訟(富田善範裁判長の不適切訴訟指揮)妥当 | 大橋弘裁判長トンデモ訴訟指揮事件妥当 | 富山医科薬科大学MRSA腸炎訴訟 | 代理人が辞任してしまったので・・・和解 | リピーター弁護士 なぜムリを繰り返すのか不定不定 | 沖縄総胆管結石摘出不成功訴訟和解 | 不要な点眼処方は暴力行為だ!和解 | 素人も削ってみたけれども、悪いのは歯医者です和解 | 眼底造影検査アレルギー死亡訴訟妥当妥当 | 開業医時間外診療拒否訴訟和解 | 異食症高齢者誤嚥死亡訴訟 | 行き当りばったり提訴医療訴訟事件妥当 | 三平方の定理血管穿刺訴訟妥当 | 日野心筋梗塞訴訟妥当 | 京卵巣腫瘍摘出尿管損傷訴訟妥当 | 老人ホーム誤嚥常習者心肺停止訴訟和解 | 椎間板ヘルニア術後下垂足訴訟和解 | 北陵クリニック筋弛緩剤点滴事件妥当妥当妥当 | これを治っているというのはどこの医者だ!和解 | 東京産婦MRSA感染訴訟 | 徳島脳性麻痺訴訟不明微妙 | 医療問題弁護団問題1和解 | 医療問題弁護団問題2和解 | 医療問題弁護団問題3和解 | 医療問題弁護団問題4 | 谷直樹弁護士の謬論 (医療問題弁護団問題~5~) | 青森里帰り妊婦OHSS訴訟C以上妥当 | 一宮身体拘束裁判妥当妥当 | 八戸縫合糸訴訟妥当 | 加古川心筋梗塞訴訟 | 東京脳梗塞見落しカルテ改ざん訴訟妥当和解 | 東京の皆さ~ん,こちら岡山で~す妥当 | 関東中央病院PTSD訴訟妥当妥当 | アヴァンギャルド癌治療訴訟和解 | 十日町病院術中死訴訟妥当 | 腰椎圧迫骨折保存療法訴訟和解 | ゼロ和解したRSD訴訟和解 | 福島VBAC訴訟和解 | 過剰な吸引分娩による胎児死亡訴訟微妙妥当 | 産婦大量出血死亡訴訟妥当 | 新島骨折見逃し訴訟 | 奈良先天緑内障訴訟 | カルテ改ざん訴訟妥当妥当 | 円錐角膜移植手術後散瞳症訴訟妥当 | 奈良救急心タンポナーデ訴訟妥当 | 亀田テオフィリン中毒訴訟 | 村田渉判事の判決文に学ぶ1妥当 | 村田渉判事の判決文に学ぶ2妥当 | 村田渉判事の判決文に学ぶ3妥当