判例タイムズ1326「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」

判例タイムズ1326号に,「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム 第1回」という特集が掲載されました。平成20年10月24日に開かれたシンポジウムで,東京地裁医療集中部4箇部の部総括判事が全員ご出席(孝橋宏判事,秋吉仁美判事,村田渉判事,浜秀樹判事),それに加えて帝京大の森田茂穂医師,昭和大の有賀徹医師,医療問題弁護団の安原幸彦弁護士,医療側の棚瀬慎治弁護士など,すごいメンバーのシンポジウムだったようです。話題は以下の小見出しから分かるようにかなり広い範囲を網羅しており,内容も大変面白くておすすめです。

ただ,読んだ感想としては,「このシンポジウムに集まられた判事の方々がされるようなハイレベルな仕事が,全国すべての裁判所でなされていたのなら,事態は現状ほどまでには深刻になっていなかったのではないかな」というのが真っ先に思うところです。あと,今回は過失判断についてはさておいて,因果関係に的をしぼってのシンポジウムだったとのことで,過失判断に関する議論も改めてなさって頂きたいものだと思った次第です。

文中小見出し抜粋
●民事裁判と刑事裁判の異同
●証明すべき事実――損害賠償請求の要件
●証明責任・立証責任ということ
●民事裁判で証明できたとはどんな場合か?
●要件事実とは何か?――証明の対象
●民事訴訟における事実認定の一般原則
●東大ルンバール事件の判決内容の位置付けとよくある誤解
●民事通常事件における事実認定の実際
●因果関係に関する判例理論
●議論の対象は事実的因果関係の有無
●最高裁判例のポイント (峰村注:最高裁判例平成11年2月25日)
●医療訴訟の特殊性――医学的知見の取扱い
●証拠の優越説と高度の蓋然性説の違い
●高度の蓋然性の内実について
●民事裁判における割合的心証の取扱い,請求額と認容額の違いについて
●東大ルンバール事件判決に対する違和感の原因について
●手技上の過失による結果と説明義務違反との関係について
●医療訴訟における原因と結果の解明について
●因果関係についての考え方の民事と刑事での異同について
●東大ルンバール事件判決の背景について
●優れた医学文献による裁判の必要性について
●インフォームド・コンセントの問題に関する原告側の視点等について
●インフォームド・コンセントの内実の確認について
●適切な争点整理の必要性などについて
●医療と司法のコミュニケーションの必要性について
●民事裁判に対する医療側の協力(お願い)について

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