医療裁判、医療訴訟

 このコーナーでは、医療裁判、医療訴訟に関する話題を集めて,患者側,医療側から見たそれぞれの問題点を,傍聴マニアの医師の視点から解説,検討します。

結果の失敗と過失は別です。
たとえば未破裂動脈瘤の手術で動脈瘤を破裂させれば失敗です。
しかしそれはイコール過失ではありません。
(・・・)
手術に失敗して患者が死んだ場合も、失敗と過失は別ですから。下手くそというだけで残念ながら法的責任を負わせることはできません。
(患者側代理人・寺島道子弁護士のホームページ「証拠の検討」より)

(表紙メッセージ履歴はこちら)

お知らせ
平成28年8月25日: 静岡羊水塞栓症訴訟(富田善範裁判長の不適切訴訟指揮)を掲載
平成27年5月11日: 高松三つ子緊急帝王切開訴訟を掲載
平成25年5月6日: 医療問題弁護団問題~6~を掲載
平成25年3月10日: 宮川光治裁判官の余計な一言に追記を追加
平成25年2月4日: 大橋弘裁判長トンデモ訴訟指揮事件を掲載
医療裁判傍聴記ブログの更新:
初めての方ナビ
医療事故被害者の方へ → 医療訴訟の原告の方へのアドバイス
患者側弁護士の方へ →
医療問題弁護団問題~1~~2~~3~~4~リピーター弁護士 なぜムリを繰り返すのか?
検察官・人権派弁護士の方へ →
「業務上過失人権侵害罪」の立法を
裁判官の方へ →
裁判官の方々へのメッセージ大橋弘裁判長トンデモ訴訟指揮事件一宮身体拘束裁判宮川光治裁判官の余計な一言
医師・医療関係者の方へ →
医療訴訟の現状と問題点(PDF)(HTML版はこちらから)
とにかく面白い事件に触れてみたい方へ →
三平方の定理血管穿刺訴訟東京脳梗塞見落しカルテ改ざん訴訟
また、本編記事にする前のラフスケッチとして、
医療裁判傍聴記ブログがあります。
基礎編
医療と司法の関係についての私の考えの原点
裁判に触れてみましょう
訴訟内容をより詳しく確認したい場合は,カルテをはじめとした全記録を閲覧できます。
医師が「書類送検」されたと聞くと,医療関係者は不愉快になりますが…
わざわざ負け戦をしないように,患者さんへのアドバイス。
平成20年の患者側勝訴率26.7%は,依然として高いものに感じます。
本当は,裁判官の方々を尊敬しています。
弁護士業務のミスが刑事罰に問われる法制度は,人道的に問題は無いのでしょうか。
医療訴訟において原告に要求される立証水準と比べて,ハードルが異様に高いことに驚きました。
医療者の眼から見た医療訴訟の現状と問題点を,なるべくわかりやすくまとめました。
記録閲覧時のメモ取りを,さいたま地裁で禁止され,最高裁で牽制されたことから,裁判の公開原則と,メモ取りの妥当性について考えてみました。
日航機ニアミス事件で,管制官の有罪を確定させた際に,宮川光治最高裁裁判官が付した補足意見には,看過できない重大な問題があると考えました。
「手術で誤って障害を負った」と言っても、それだけでは裁判に勝てるような法的過失があったとは言えないのです。
「画像検査で見逃した」と言っても、手術の合併症と同様に、それだけでは裁判に勝てるような法的過失があったとは言えないと考えます。
事件編
独断による司法過誤度ランクをつけました。ランクは大体以下の通りです。
=司法判断の手法自体に過誤がある(狭義の司法過誤)と考えるもの
=医学的判断に重大な問題があるもの
=医療側への注意義務賦課が厳しいもの
事件名(独自の命名です) 司法過誤度




高松三つ子緊急帝王切開訴訟
三つ子妊娠中に一児が死亡し、残りの二児と合わせて緊急帝王切開を行った事例。医師の過失認定はこれでもかと演繹的に作り上げつつ、過失と障害の因果関係認定は証拠不十分な杜撰な判断をしたと考えられた事例。
大橋弘裁判長トンデモ訴訟指揮事件 妥当
裁判官は公平・公正のために、当事者(原告・被告)の主張と証拠の範囲内で判断をしなければならないという鉄則がある。控訴審はその鉄則を無視して、独自に勝手な判断を作文した。そしてその控訴審判決を差し戻すために、最高裁までもが裁判の基本的ルールを無視した審理をして、空前絶後の杜撰審理が連続した事件。
富山医科薬科大学MRSA腸炎訴訟
代理人が辞任してしまったので・・・ 和解
リピーター弁護士 なぜムリを繰り返すのか? 不定 不定
貞友義典弁護士の著書「リピーター医師 なぜミスを繰り返すのか?」を参考に、胸部交感神経遮断術(ETS)の後遺症をめぐる5つの訴訟を紹介。壮大なオチに驚嘆必至。
沖縄総胆管結石摘出不成功訴訟 和解
不要な点眼処方は暴力行為だ! 和解
素人も削ってみたけれども、悪いのは歯医者です 和解
眼底造影検査アレルギー死亡訴訟 妥当 妥当
開業医時間外診療拒否訴訟 妥当
異食症高齢者誤嚥死亡訴訟
自分の紙おむつをちぎって食べてしまうという、認知症を伴う大変な異食症の持ち主について、その異食症を防げず死亡させたとして1700万円余りの賠償金を認められた事例。裁判官の公平感覚に違和感を覚えた。
行き当りばったり提訴医療訴訟事件 妥当
医療過誤として一旦提訴した事件が、途中で行き詰まったために取り下げて、改めて提訴した事件。わざわざ出直し提訴したにもかかわらず、原告側の主張内容が杜撰で、原告代理人弁護士に大きな問題があると考えられた事例。
三平方の定理血管穿刺訴訟 妥当
透析のときの血管穿刺の角度が大きすぎるために、血管痛の被害を受けているとして、患者が看護師を訴えた事件。その過失の証明に三平方の定理が関係するというのだが…
日野心筋梗塞訴訟 妥当
心筋梗塞の診断が遅れて、心臓機能が低下したとして提訴した例。一審ではカンファレンス鑑定を無視した過失認定、証拠無き因果関係認定が見られ、司法過誤と考えられたが、控訴審で破棄された。
東京地裁医療集中部の高額勝訴事例
1. 卵巣腫瘍摘出尿管損傷訴訟
妥当
丁寧な審理をされる東京地裁医療集中部では、高額賠償が認められることは少ないようですが、その珍しいと思われる高額の賠償認定例を追ってみました。
老人ホーム誤嚥常習者心肺停止訴訟 和解
誤嚥を繰り返していた93歳の女性が、ある日の食事中に再び誤嚥を起こして心肺停止となり亡くなられた。大変高額な和解金に不条理を感じた訴訟。
椎間板ヘルニア術後下垂足訴訟 和解
ヘルニア手術後に麻痺が起きた事例。被告病院主治医が自らの過失を自覚して、原告患者に協力的に誠実に証言。ところが実際には手術に過失があったとは考えられず、裁判は原告劣勢で進行。ところが最後に驚きの和解を見た事例。
北陵クリニック筋弛緩剤点滴事件 妥当 妥当 妥当
以前から冤罪説が主張されていた事件で、平成22年から長崎大の池田正行医師が冤罪を強く主張しはじめた。ところがよく確認してみると、判決は妥当であり、裁判所、検察をむしろ称賛すべきであると考えられた事例。
これを治っているというのはどこの医者だ! 和解
後から診察した医師が、前に診察した医師の診察を酷評したことから、問題が大きくなったと思われる事例。私が書いたカルテが証拠として提出されていた。
東京産婦MRSA感染訴訟
MRSAに対するバンコマイシン投与の遅について,一審では2分の1以上の結果回避可能性をもって因果関係を認定し,二審では成功事例4例からの類推で因果関係を認定するなど,通常人でも疑いを差し挟むであろう因果関係認定論理が展開された事例。
徳島脳性麻痺訴訟 不明 微妙
原告側弁護士のブログが炎上して話題になった事件。病院側敗訴には止むを得ない面があったが,いろいろと理不尽を感じる事件であった。
医療問題弁護団問題~1~
医療問題弁護団問題~2~
医療問題弁護団問題~3~
医療問題弁護団問題~4~
谷直樹弁護士の謬論 (医療問題弁護団問題~5~)
医療問題弁護団問題~6~
不定
医療事故調査委員会設立を推進する医療問題弁護団ですが、その弁護水準に疑問を持たざるを得ない例が見られ、彼らが医療事故調に関与しようとすることに強い疑問を持ちます。
青森里帰り妊婦OHSS訴訟
以上
妥当
医師の制止に従わずに里帰りをした妊婦が,里帰り先で病気を発症して入院,ICUへの転棟を何度も拒否し,不幸な結果に。控訴審判決文では詳細な責任判断と共に,患者の義務について鋭い判示がなされた。
一宮身体拘束裁判 妥当 妥当
入院中の患者が興奮状態となったために止むを得ず身体拘束をしたことについて,高裁は「緊急性はなかった」として病院側の責任を認めた。その判決は最高裁で覆され,結局この事件を通じての最大の問題点は医療行為の適否ではなく,高裁判決の司法判断にあったものと考えられた。
八戸縫合糸訴訟
妥当
農作業の負傷でガス壊疽にかかり左脚切断となった事件。医師の過失で左脚切断に至ったと認定した高裁判決に対して,全国の医師から轟轟の非難があがり,「どうせ異常な鑑定が出たのだろう」という予想が立てられていた。しかし裁判記録を紐解いてみると,目立つのは鑑定の異常さよりも,高裁判決における因果関係認定の異常さであった。
加古川心筋梗塞訴訟
訴訟記録閲覧後コメント(別頁)
判決に対して全国の医師が猛反発したが,その反発の内容に,裁判で争われていない"怪情報"が含まれているとして兵庫医療問題研究会から声明が出された。しかしそれ以前に裁判所の判断に杜撰な点があり,司法過誤と考えられた訴訟。
東京脳梗塞見落しカルテ改ざん訴訟
妥当 和解
C級訴訟。脳梗塞を見逃されカルテを改ざんされたと主張しながら敗訴した原告から,私宛に「村田渉裁判長の眼が曇っているので診察してあげてください」とのメッセージが届いた。しかし裁判記録を確認すると驚くべき事実が…
東京の皆さ~ん,こちら岡山で~す
妥当
東京地裁と岡山地裁を電話回線で接続しての遠隔証人尋問を傍聴。事件自体はそもそも原告の勝機が薄いと考えられる事件で,一審原告敗訴で確定。
関東中央病院PTSD訴訟
妥当 妥当
診療時の医師の対応に過失がありPTSDを発症したとして提起された訴訟。控訴審で患者が逆転勝訴したが,高裁判断は,過失認定のために証拠を拡大解釈したものと考えられ,限りなく司法過誤度Aに近いと思われる判決であった。
アヴァンギャルド癌治療訴訟
和解
早期癌に対して手術を嫌った患者が,漢方・気功クリニックで治療を受けたところ,癌が進行して死亡し,遺族がそのクリニックを相手に提訴した。
十日町病院術中死訴訟 妥当
手術中の麻酔薬投与量過量の過失,心停止後の対応の過失等について,裁判所ごとに大きく異なる判断をした。医学的には二審判決が妥当と思われたが最高裁で破棄された。その最高裁判決は,最高裁小法廷に求められる司法水準に達していないのではないかと疑われるような判決であった。
腰椎圧迫骨折保存療法訴訟
和解
腰椎圧迫骨折に対して標準的な治療をした医師に対して,特殊な治療を支持する医師が批判的な証言をした訴訟。批判証言をした医師の問題と,そもそも訴訟を請負った弁護士の問題と,双方が考えられた事件。
ゼロ和解したRSD訴訟
和解
証人尋問を傍聴した限りでは,東京地裁民事第34部の村田裁判長の下では原告敗訴は当然と考えられたところ,医療訴訟では珍しいと思われるゼロ和解で終結した事件。
福島VBAC訴訟
和解
産科医療崩壊の聖地・福島県で,大学病院の医療体制が不十分だったと,曖昧な基準で有責とされた事件。判決は,争点とは別の過失を認定して有責としており,司法過誤と考えられた訴訟。
過剰な吸引分娩による胎児死亡訴訟
微妙 妥当
一審は,新聞報道と,実際の裁判内容に大きなギャップがあり,報道の杜撰さが目についた。また,一審は医療側にやや甘い判断であったと考えられたが,高裁では新たな調査結果を基に修正された。
産婦大量出血死亡訴訟
妥当
司法の手が血液製剤C型肝炎被害を拡大に加担したと考えられる,昭和50年の判決。
新島骨折見逃し訴訟
小さな島での医療訴訟。賠償金支払でトラブルがあり新聞で取り上げられた。
奈良先天緑内障訴訟
一審では裁判所の常軌を逸した判断により1億3千万もの賠償額を認められ,控訴審では医療現場の実態を無視した鑑定によって法廷が翻弄された訴訟。控訴審判決には,裁判所が翻弄されたことに対する弁明と,被告側の自由な弁護活動への批判が並べ立てられた。
カルテ改ざん訴訟
妥当 妥当
C級訴訟。カルテの正本を示して説明をしても,改ざんカルテと信じて疑わない患者が,弁護士なしの本人訴訟で臨んだ裁判に,地方裁判所は短い判決文を示した。
円錐角膜移植手術後散瞳症訴訟
妥当
一審では,「風が吹けば桶屋が儲かる」式の理論で,病院側が有責とされたが,控訴審ではその理論は完全に否定された。一審判決は真のトンデモ判決と言える。また,上告が理由不備で却下され,弁護過誤も疑われた。
奈良救急心タンポナーデ訴訟
妥当
高裁判決でアクロバット的な法解釈の捻じ曲げで医師の過失を認め,それでいながら医師には賠償責任を負わせず,勤務先の県の賠償責任を認めた例。
亀田テオフィリン中毒訴訟
テオフィリンという薬を,致死量以上の量を摂取したと思われる患者を,救急で救えなかったとして,病院が敗訴した事件。
村田渉判事の判決文に学ぶ~1~
村田渉判事の判決文に学ぶ~2~
村田渉判事の判決文に学ぶ~3~
妥当
東京地方裁判所の民事第34部で,平成19年より指揮を執られている村田渉裁判長の判決文は,不自然に患者側に偏ることなく,医師から見ても納得できる判決が多いと思われるので,例示してみた。

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