医療問題弁護団問題 ~2~

  事件番号 終局 司法過誤度 資料
一審東京地裁 平成21年(ワ)第29097号 和解 和解  

 これも平成21年のある日に傍聴した事件です。第1回弁論で、原告代理人のみが出席していました。村田渉裁判長が原告側代理人に対して、次回弁論準備の1週間前に書面提出することを求めながら、「難しいと思うけれど一回やってみてください。ズルズルやるとズルズル行ってしまいますから。勉強ですから。」と話すのを聞いて、「提起する前に勉強しろよ」と心の中で思っておりました。

 そして、先日記録を閲覧してきました。原告側代理人は大谷直弁護士と今泉亜希子弁護士で、二人とも医療問題弁護団の一員でした。ICUに入院していたところ、ベッドから転落し頭部外傷受傷。まだ係争中でしたが、この受任はひどいのではないかと思われました。過失も考えにくいし、訴状より半年後の日付で書かれた原告協力医意見書(実態は協力と言えない)に「ただし、死に対して頭部外傷がどの程度寄与しているか、私には把握できない。」と書いてあることからも、因果関係の証明は全く出来ないと考えられ、少なくとも因果関係認定を前提とした請求は最初から無理と思われる事例でした。勝負は下駄を履くまで分からないということはあるかも知れませんけれど、これは本来なら原告を説得してお引き取り願う事例だったのではないかと思われました。特に、今泉亜希子弁護士は医療問題弁護団の幹事とのことですが、一体どうしたことなのかと考えてしまいます。

 これまた医療事故調査委員会との関係でいいますと、このような無理を通そうとする法律家が事故調に参加することは、いたずらに真相解明を妨げる結果につながりかねないと考えられました。医療問題弁護団は事故調参加には不適格なのではないかと思われた次第です。

 以下、事件概要です。

平成21年(ワ)第29097号
原告X (訴外亡Aの配偶者)
原告代理人 大谷直、今泉亜希子
被告 医療法人Y
被告代理人 加藤愼、鈴木成之

請求額5298万4853円+遅延損害金
内訳 (峰村注:訴状は全て3桁区切り。裁判所提出書類は普通4桁区切りです)
通院慰謝料 32万1000円
死亡慰謝料 2800万円
逸失利益 2088万7911円
(74歳の平均余命11年、国民年金、厚生年金、老齢基礎年金312万1100円、企業年金138万7212円)
ライプニッツ係数7.722
入院雑費 52万8000円
弁護士費用 500万円
証拠保全 13万5942円
損益相殺(遺族年金) −188万8000円

訴外A 昭和8年○月○日生
平成19年9月21日に被告病院ICUで治療中。同院W医師の注意義務違反により、ベッドから転落。左前頭葉脳挫傷、左側頭葉骨折、左半球に外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫。
平成20年○月○日(約1年後) 肺炎で死亡。

平成13年○月 脳内出血→入院
入院歴
平成15年○月 脳内出血
平成18年○月 脳梗塞
平成18年○月(上記入院の1ヶ月以内) 脳出血
既往症 肺気腫

平成19年9月21日、頭痛訴え。血圧169/77、被告病院受診。
MRI、CT施行。ロキソニン処方。カルテに「10月再check」という記載あり。
午後3時頃デパートで食事。途中で急に具合悪くなった。椅子から立ち上がれず、意識薄れ被告病院に救急搬送。ICUへ。
救急外来でJCSII-10, 血圧207/97
18:40 頭部CT、右側頭葉出血性梗塞
20:00 不穏あり。看護記録「ストレッチャー上危険にて抑制帯す」
(病院から反論、19:20とのこと)
20:00 ICUへ。看護師の掛け声に対して時々眼を開けるのみ。
ICU1名、HCU1名、フリー1名の計3人看護体制。ICUは大部屋6人+個室2室。
巡視は1時間に1回、1人の看護師がした。
ICU入室時、救急看護師より、突然起き上がるとの申し送りがあり、抑制帯の準備がなされた。
21:30 Aが起き上がり、ベッドで四つん這いになっていた。オムツに失禁。看護師が確認していた。おむつ交換を行うと再び入眠したため、抑制は行われず、再度観察に。
22:00  看護師2名。別のICU入院患者のオムツ交換処置を行っていたところ、5分ほど経過した際にドスンと大きな音がした。ベッド足元からAが頭を下に転落していた。
被告第1準備書面
原告は、「意識障害の悪化により、1年弱という長期入院を余儀なくされた」と主張するが、1年弱の入院は意識障害が原因ではなく、療養途中で大腸癌が見つかったり、肺気腫の悪化があったことが原因。

治療費未払 126万9040円
甲B第4号証 協力医意見書から抜粋

平成19年9月21日受傷後CTについて
 (受傷前と比べて)左前頭葉に脳挫傷による脳内出血疑いの高吸収域出現。左半球と小脳テント沿いにくも膜下出血、わずかながら左前頭葉付近に硬膜下血腫が見られる。しかし翌22日に意識レベルI-3に回復。9時頃施行のCTで、脳挫傷に伴なう左前頭葉の脳内出血は増大しているものの、くも膜下出血及び硬膜下血腫の増悪は無いように見える。mid-line shiftや脳室変形など、左前頭葉の脳内血腫による占拠効果もそれほど著しくない。グリセオール保存的治療で経過観察したことには問題ないと思われる。
 急性期を脱して見当識障害など認知機能の異常が前面に出現し、頭部外傷による認知症に至ったと考える。
(鈴木二郎編集、最新脳神経外科p252引用)
 A氏は受傷時に75歳と高齢。若年なら軽微な外傷も、高齢で死亡する結果に至る可能性ある。
 一方A氏は、脳血管障害を繰り返し、かつ慢性閉塞性肺疾患に罹患するなど、血管系及び循環器系の合併症を抱えていた。これもA氏の致命傷になり得たと思われる。ただし、死に対して頭部外傷がどの程度寄与しているか、私には把握できない。

藤井聡医師(山形大学医学部生理学教授。ただし医師免許取得後5年余り脳神経外科在籍)

なお、訴状日付は平成21年8月18日
上記藤井医師意見書日付は平成22年2月2日
甲 A第25号証 原告陳述書 平成22年3月8日、最後の部分
「私には、夫がここまで原因は、ベッドから転落して、頭を打ったからとしか思えません。」

平成22年6月13日記す

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