加藤新太郎裁判長の訴訟指揮

もう、2年近く前のメモなんですが、ひっくり返していたら出てきたものが、わりと面白かったので備忘録的に。

・・・ 今日,東京高裁第22民事部で,医療訴訟の控訴審の弁論の前に開かれた,ある事件の第1回弁論です。25分もかかったのですが,面白かったのでご報告。と言っても走り書きメモなので裁判の流れまでは分からないと思います。3度ほど笑いが起きた,その雰囲気だけでも。

事件内容はちょっとよくわからないんですが,何らかの土地を,控訴人がうまく丸め込まれて,7億円で売って8億5千万円で買い戻すような取引をしたらしいです。事件番号は平成22年(ネ)第3516号。

被控訴人代理人「先週の金曜日に控訴人から和解の話があって,まだ時間がなくて検討していないんですが,本日は(事前に提出されていた控訴人の書面の)陳述を待ってもらうのが…」
加藤裁判長「せっかく書いたんだからいいんじゃない? どうせ大した主張じゃないんだから」(笑)

(・・・)

加藤裁判長「大した主張じゃないというのは冗談ですけどね。原審では終結後,3月25日付被告準備書面6,未陳(陳述していないこと)になってるけど,未陳のまま書いちゃったけど,これはいいね?」

加藤裁判長「控訴審ではどこを一番見て欲しいの?」

加藤裁判長「控訴人は控訴理由書に新主張があるんだけど,普通なら,時宜に遅れた主張というと思うんだけど,被控訴人は言わないの? 横綱相撲をとるつもりなのね?」

加藤裁判長「被控訴人が訊かないからあえて訊くけど,どうして今頃こんなもの(出したの)?」(笑)

控訴人代理人「原審で負けて,これはまずい,と。」

加藤裁判長「でも,これはどうなの?」

控訴人代理人「ちょっと無理っぽいです」

加藤裁判長「そうだよな,無理っぽいよね。」(笑)

加藤裁判長「原審では,お互いフェアな議論の応酬をしているけど・・・ しかし主張の3なんか,こう言うのを書くと,こんなことで商売しているのと思われる。こういう事を書くとまずいよ」

控訴人代理人「ありがとうございます。勉強になります。」

加藤裁判長「すごく率直に話すから,裁判所としてはやりにくいよね。それは棄却です,とは言いにくいですよね」

(・・・)

控訴人代理人「こちらは1円も得ずに物件を失っているので・・・」

加藤裁判長「でも売買じゃない。売買ってのは,狡猾な人が儲けるものじゃない。それは後知恵だよね。」

控訴人代理人「そうですね・・・」

加藤裁判長「○○社がいつになくいい取引をしちゃった,ということだよね。」

 

追記: 加藤新太郎裁判長の訴訟指揮その2がこちらに、その3がこちらにあります。

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