令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
2010年9月の記事
ゾウの時間 ネズミの時間
2010年9月14日
初診の問診が不十分であったことが過失だそうですが・・・
初診開業医に賠償命令
地裁 患者死亡「問診が不十分」髄膜炎の症状を見過ごされ、治療の遅れから転院先で死亡したとして、境港市の男性会社員(当時40歳)の両親が同市内のたけのうち診療所(閉鎖)の50歳代の男性医師に慰謝料など約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、地裁米子支部であった。村田龍平裁判長は「十分な問診と、設備の整った医療機関への移送を怠った過失があった」として、医師に約5600万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2001年12月、高熱や嘔吐(おうと)の症状を訴えて初めて同診療所で受診。解熱剤などを処方されて帰宅したが、症状は悪化し、翌日に救急搬送された病院で細菌性髄膜炎と診断された。その後、意識が回復しないまま、転院先の病院で05年1月に多臓器不全で死亡した。
診療所では、感染症検査などを外部に委託しており、村田裁判長は「髄膜炎と断定することは困難だった」としたうえで、「髄膜炎を疑って特有の症状を確認するなどし、病院での検査を勧めていれば死亡は避けられた」と判断。一方で「過失がなくても後遺症が残った可能性がある」として損害額の3割を減じた。
原告側の高橋敬幸弁護士は閉廷後「初診患者に対する問診の不十分さと死亡との因果関係が認められるのは極めて珍しい。初診の重要性を開業医に投げかける判決だ」と話した。
被告側の川中修一弁護士は「短時間の診療で髄膜炎と見抜くのは難しい。医師と相談し、控訴を検討する」としている。
(2010年9月14日 読売新聞)
この担当医の問診が過失なら,この事件の一審・控訴審判決やこの事件の控訴審判決や,この事件の地裁判決なんか,過失もいいところじゃないかと思いますけどね。年単位で時間をかけられる裁判の中では,裁判官が勉強する時間はいくらでもあったわけですからね。
こういう例なら,裁判官に対する国賠で勝つ可能性がもしかしてあるんでしょうか? こういう例なら国賠で勝つ可能性があるというなら,司法は回らないと思うんですが。
専門家の判断を,あと出しジャンケンで法的過失認定するような国では,マトモな医療は存続し得ないと思います。