令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
和解金400万は高いよ,死刑囚失明訴訟
2010年5月5日
死刑囚が拘置所内での眼科治療の過失で失明したとして、400万円で和解になり報道された事件を閲覧してきました。事件番号は、名古屋地裁平成17年(ワ)第3228号です。
参考までに,そもそもの死刑になった事件は、マニラ保険金連続殺人事件。
で,閲覧した感想なんですが,
1. 確かに「文句の付け所が無い治療」ではないかも知れないけれど,限られた条件下できちんと診ているし,レーザー治療も考慮しており,これが法的過失かと言われると,疑問符がつく。
2. 新聞記事と違って,最終矯正視力は右眼失明,左眼0.4
3. 鑑定では,遅滞なく治療されていた場合に,右眼が視力を維持できたか否かは30%だか60%だかの,相当程度の可能性程度の判断。
4. 鑑定では,右眼の加療は遅かったが,左眼についてはむしろ時宜に適った手術が施行されたとしている。
5. すると,先に悪化が進んでいた右眼は,最善の加療をされていても最終視力は0.4かそれ以下と推認すべきではないか。
6. すると,仮に過失と因果関係が明らかになったのだとしても,その慰謝料は「7級: 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下のなったもの」と,「9級: 両眼の視力が0.6以下になったもの」とを参考に,両者の差から大きく外れるということはないのではないか。
7. こちらの表によれば,裁判の場合の慰謝料は,7級で1000万円,9級で690万円。差額は410万円。
8. ところが,裁判所の和解案では,単に7級の自賠責金額1051万円を参考にして和解案が作られていた。
カルテのスケッチをメモするのに忙しくて,準備書面をしっかり読むほどの時間はなく,被告側の主張がどんなものだったか良く分からないですが,ちょっと大盤振る舞いの感が否めません。
原告代理人は柴田義朗弁護士ですよ…
ちなみに,今日見てきたもうひとつの事件も,原告代理人は柴田義朗弁護士でした。
さらに,今日名古屋地裁で弁論準備手続をしていた眼科の事例も,原告代理人は柴田義朗弁護士でした。
トウカイチホウ,ホンマニホンマニ,コワイトコロネ
(上記は、平成22年3月の日記を一部改変したものです)