令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
カテゴリー「医療訴訟」の記事
亀田テオフィリン中毒事件その後
2008年10月18日
注:今日から,相当ディープな話題でも書くだけ書いておこうかと思います。
つい先日,最高裁に電話して,亀田テオフィリン中毒事件の進行状況を確認しました。
今のところ上告(ないし上告受理申立て,以下同様)棄却にはなっていないとのことです。これで上告から約10ヶ月経過しました。
上告棄却の場合は2ヶ月くらいで決定されることが多いようですし,また上告受理されるには,上告から半年以上棄却をされないことが第一関門だということなので,亀田テオフィリン事件は既にこれをクリアーしていることになります。
もし上告が受理されるとしたら,最高裁はどの点をポイントとしてくるのか,興味津々です。例えば,控訴審で病院側が持ち出した「死因はテオフィリン中毒」という主張について,控訴審判決では全く審理されていない点か,はたまた鑑定意見の取り扱いに関するようなもっと広い射程を持った根本的な点か…
これだけ待たされて,結局は上告棄却だったらさすがにがっかりです。
亀田テオフィリン中毒事件の症例検討会の様子はこちらをご参照ください。
http://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1088.php
判決文についてはこちらをご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071225
飛行機の中でお産に立ち会った医師たち(ただし外国)
2008年8月31日
旅客機内で男児出産、乗り合わせた医師4人が立ち会う
2008-08-29 15:00:02
香港から豪アデレードへと向かう旅客機内で28日朝、搭乗していた女性が男児を出産した―出産に立ち会ったのは、偶然同じ飛行機に乗っていた4人の医師だった。
赤ちゃんを出産したのは、当時妊娠34週目だったParmajit Kaurさん(29)。香港を離陸したキャセイ航空の機内で、突然産気づいたという。
出産に立ち会ったジュディス・ハメル医師は、オーストラリア放送協会(ABC)に対し次のように語っている。「わたしを含めて4人の医師がたまたま同乗していました。外科医、整形外科医、腎臓専門医、そして一般開業医のわたし。出産に関しては、4人の中でわたしが一番経験があると判断して“チーム”をリードすることになりました」。
「助産師役はわたし。ほかの3人は(Kaurさんを)励ます役、“吸って、はいて”を繰り返す役、(生まれた)赤ちゃんの面倒を見る役とそれぞれ役割を分担しました」と説明するハメル医師。「無事に出産を確認できた瞬間はほっとしました。4人とも“面白い”経験をさせてもらったと思っています」と付け加えた。
母子を病院へと搬送するため、ダーウィンの空港に緊急着陸した同機。その後、残りの乗客を乗せたまま再びアデレードへ向けて飛び立ったという。(c)South China Morning Post/Martin Wong
えー,
外国人医師の皆さんには,「“面白い”経験」だったと思うんですが,
日本では,もしうまく行かなかったら訴えられるんではないかと思うと,緊急召集がかかっても,ちょっと名乗り出れないかも知れませんです,はい。
8/15, 8/20
2008年8月15日
63年前の8月15日,玉音放送が流れたといいます。
我々は,8月20日,福島地方裁判所で,判決を聴きます。
そもそも比較するようなものではないのですが,なぜか重なるものを感じるここ数日です。
8月20日の大野病院事件の判決に注目してください。
医療ミス・司法ミス
2008年5月21日
備忘録的に書いておきます。北海道新聞より
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/93337.html
誤って執行猶予判決 地裁北見支部、適用外の罰金額(05/17 15:41)
【北見】釧路地裁北見支部が言い渡した刑事裁判の有罪判決で、刑法では適用できないケースなのに執行猶予を付けていたことが、十七日までに分かった。同地裁は誤りを認め、「あってはならないミス。おわびし、再発防止に努める」としている。
同支部の植田智彦裁判官は十五日の判決公判で、出資法違反などに問われた被告三人に実刑を含む有罪判決を下した。このうち一人に「懲役二年、罰金百五十万円、執行猶予五年」を言い渡した。
しかし、刑法は執行猶予を付けられる場合を「三年以下の懲役もしくは禁固または五十万円以下の罰金」と規定。今回の額の罰金にも執行猶予を付けたのは、規定外だった。
同地裁によると、判決後に地裁内で判決内容を精査した結果、誤りが分かった。判決は言い渡し時点で効力が生じるため、変更には控訴が必要。同地裁は十六日に釧路地検と弁護人に事情説明しており、「今後の対応を待ちたい」としている。
医療で同レベルのミス(例:投薬量間違い)をしたら、患者さんが一人亡くなってもおかしくないでしょう。その場合医師は、刑罰、賠償責任、行政処分(医師免許停止)などをすべて喰らう可能性があります。
この判決ミスをした裁判官の処分・責任はどうでしょう。個人にかかる責任は全くないでしょう。この落差はなんなんでしょうね。
腑に落ちないものを感じます。いや、この裁判官を罰せよというのではなく、医師への過剰な責任追及について。
医療裁判の判決のうち、医学的な部分は参考にすべきでない
2008年5月4日
以下の記事にコメントした医療問題弁護団の鈴木利広という方は、医療裁判の判決における医学的な事柄に関する指摘が、医療事故を減らすとは限らず、逆に医療事故を増やすことがあることをわかっていないようです。
2008年5月4日、NIKKEI NETより
——————————–
過失認定の出産医療事故、4割が陣痛促進剤使う
出産時に胎児が死亡したり、脳性まひになった医療事故で、裁判所が医療機関側の責任を認めたケースの4割は陣痛を促進するための子宮収縮剤を使っていたことが、医療問題弁護団(鈴木利広代表)の調査で分かった。裁判所は不適正使用のほか、胎児の心拍を監視する装置を使わなかったミスを認定しており、弁護団は「判決の指摘を再発防止に役立ててほしい」と求めている。
事故後に妊婦や胎児の状態や薬剤の投与量などを書き直すカルテの改ざんを認定されたケースも1割強あった。(07:00)
——————————-
少し前に書いた『裁判所が拡大に加担した「薬害肝炎」』のような例があります。
http://kaleidoscopeworld.at.webry.info/200801/article_3.html
恐ろしいことは、判決が医療事故を増やすときはその規模が甚大になる場合があるということです。
医療問題弁護団問題は、引き続き追いかけて行きたいと思います。