富山医科薬科大学MRSA腸炎訴訟・一審判決概要

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注:控訴審とは判断が異なります。一審ではグラム染色の話は出てきていません。

争点1 敗血症の発症原因
原告: 肛門周囲膿瘍またはMRSA腸炎に起因する敗血症
被告: MRSA腸炎による敗血症
裁判所: 遅くとも12月8日にMRSA(+)、SIRS状態。12月11日にはアルブミン1.1g/dl
頻脈(+)、血圧低下、発熱→敗血症性ショック
鑑定では、肛門周囲膿瘍による敗血症の可能性は否定出来ないというが、12月6日の肛門周囲膿瘍からMRSA(-)→可能性に留まり、結びついたとは言えない。よって、MRSA腸炎によるものと認める。

争点2 肛門周囲膿瘍に対する措置
敗血症の発症と関係ないと判断されたので、この項については判断しない。

争点3 MRSA腸炎に対する措置
鑑定では、11月22日から体温38度、腸閉塞症状、頻脈などの症状(+)、27日から腹痛、29日から口渇など脱水症状があり、MRSAを強く疑う所見だった。
胃管廃液は、11月26日に2100、11月27日に2700、11月28日に3900、11月29日に2450、11月30日に4000
→11月29日にMRSA腸炎を強く疑っていい所見。26日から30日、前駆症状の胃管からの大量の排液。12月1日から多量の水様便。
12月4日の時点で便からMRSAの同定が確認されておらず、MRSAの診断には至らずとも、培養結果を待って治療を開始するのでは遅く、発症が疑われる場合には直ちに治療を開始すべきだった。
なお、12月3日の便培養の結果はMRSA(-)だったが、症状からMRSA腸炎を強く疑うことができたと考えられることからすると、12月3日に陰性であることは、上記注意義務を左右しない。
被告は、便培養でMRSA(-)の時期に大量の水様便が出ていたことをもって、平成16年12月11日より以前にMRSA腸炎を疑うことはできないと主張する。
しかし患者は10000mgを超えるステロイド投与を受けるなど易感染性のリスクがあった。MRSA腸炎を疑うべき状態であった。被告の主張には理由がない。
また、被告は、10月17日、10月31日~11月7日にバンコマイシンを既に使用しており、安易に投与はできない。アレルギー疑い、菌交替もあった。12月11日より以前にバンコマイシン投与の義務はなかったと主張。しかし11月29日にMRSA腸炎を強く疑う所見があった。確定を待ってから治療を開始したのでは手遅れとなることがある。バンコマイシン耐性菌の出現を恐れてバンコマイシンの投与をためらうことは相当とはいえない。10月31日~11月6日にバンコマイシン投与したが、アレルギー出現ない。菌交替現象の主張には具体性を欠く。

因果関係
12月3日はMRSA(-)であり、MRSA腸炎はなかった。
12月4日からバンコマイシンを投与していれば、効果発現までに5日以上かかるとして、MRSA腸炎→敗血症→敗血症性ショックは回避できた可能性が高い(高度の蓋然性が認められる)


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