沖縄総胆管結石摘出不成功訴訟・閲覧メモ

(事件概要はこちらに、判決文はこちらにあります。) 


訴状 平成18年11月10日
弁護士に相談したが1年間放置された。
やむなく他の弁護士に依頼したら、院長を知っているから裁判はできないが、請求書なら書いてあげるとして、700万円の請求書を書いた。
病院の顧問弁護士から、300万円でどうだと言われた。
被告の債務不履行に基づく原告の被害額は4000万円を下ることはない。
(計算式は一切なし)


原告第2準備書面 平成19年8月7日
因果関係
7月3日に内視鏡手術失敗し翌日膵炎の診断。
7月13日の手術が失敗した結果膵炎が進行し糖尿病を併発。
糖尿病と鬱には重大な関連がある。オッズ比は2倍。糖尿病から鬱は7割、鬱から糖尿病は3割。
原告が鬱になったことは糖尿病と相当因果関係がある。


第3回弁論準備 平成19年11月26日
双方、和解検討


第5回弁論準備 平成20年1月18日
双方、専門委員関与に異議なし。


原告第3準備書面 平成20年4月8日→不陳述
診療経過一覧表に対する認否:全て不知とする
原告に生じた具体的な損害の内容:
後遺障害慰謝料2000万円
後遺症による逸失利益1600万円
弁護士費用400万円
(計算式は一切なし)


第7回弁論準備期日 平成20年4月9日
原告:診療経過表について、争いがある点を再度絞って検討するとともに、補充すべき点があればこれを明らかにした上、同経過表に対する認否等を記載した準備書面を提出する。損害額について、再度、主張を整理した準備書面を提出する。
受命裁判官: 原告の具体的主張が出揃い、争点が明らかになった段階で、専門委員を関与させる予定。原告は速やかに準備を。


原告第3準備書面 平成20年6月2日
診療経過一覧に対する認否


原告第4準備書面 平成20年9月4日
カルテに医師の署名が全くないのは慣行に反して極めて不自然
平成13年7月16日から同年8月8日までカルテの記載が全くないのも不自然。
損害額 229万9229円×12.4622(ライプニッツ係数)=2865万3451円
残りは慰謝料の一部。


乙A6 執刀医師陳述書の最後
満足行く医療を提供できなかったことは忸怩たる思いであります。医療においては、その診断治療過程を常に検証・反省し、それを次の医療に生かしていくという性質を持っているものです。合併症は確かに患者側に不利益をもたらすものではありますが、医療機関側がその賠償責任をすべて負うということとなると、対立を生み、検証・反省が医療の共有財産となるとこも阻害されてしまう。そのような方々に対しては、昨今国政において議論されている、無過失補償制度が早期に成立し、救済されるようになることを望んでいる。


原告協力医、松田意見書(甲B6)
EPBD: 結石除去率向上のため、亜硝酸剤や結石破砕用バスケットカテーテル、適切なサイズのバルーンカテーテルが使用されていたかどうか。EPBD不成功時にESTが出来る体制になっていたか。(以下略)
外科手術:
1. なぜ経胆嚢管を試みたのか疑問
2. 通常径の6-8mmのファイバーを使用したのか?
3. 鉗子による破砕、結石除去用バルーンカテーテル、逆噴射カテーテル、一分施設では電気衝撃結石破砕装置を使うが、これらを施行したか?
Tチューブ造影が重症急性膵炎に関与している。
カニ爪様所見はない。嵌頓結石の存在の確定はできない。肝内胆管は末梢まで造影されている。注入圧はある程度高かったと考えられる。十二指腸への造影剤流出はなかった。


被告協力医、 長原意見書(乙B5)
手術後8月8日のTチューブ造影。十二指腸流出がないことから、結石嵌頓があったと思われるが、典型像ではない。すなわち総胆管末端のどの部位に結石が存在するのかが不明。おそらく総胆管末端の何らかの解剖学的な変化のために、このような非典型的な造影所見を呈するのであり、これがためにERCPでも外科的にも不成功に終わるという不幸なことが生じたのではないか。
Tチューブ→造影→4日目に自然排石し膵炎発症
医療行為に伴う過失により重症急性膵炎が発症したとは言い難い。

8月8日、造影、肝内胆管も造影されているが、第3,4次分枝まで造影されているわけではなく、それほど総胆管内圧が上昇していたとは考えにくい。


被告第4準備書面 平成21年3月11日
平成18年11月の提訴から2年以上経過しているが、原告はいまだ被告担当医らの過失に関する具体的な主張をしていないため、被告としても反論のしようがない。
原告は甲B6号証を提出。恐らく原告の最重要証拠と思料。これについての被告見解を明らかにする。


第16回弁論準備 平成21年7月10日
和解勧試


第22回弁論準備 平成22年3月16日
被告: 原告の主張整理が全くなされていない状況においては、争点整理手続を終了され、人証調べ手続きに入って頂きたい。
受命裁判官:
原告は早急に主張整理を完了されたい。4月9日までに和解希望額を示されたい。


原告和解希望額 平成22年4月13日
2000万円


第23回弁論準備 平成22年4月16日
和解には応じられない。和解打切


原告第7準備書面 平成22年6月1日
損害
逸失利益 後遺障害等級7級、訴訟提起時52歳
229万9229円×0.56×10.3797=1336万4572円
後遺障害慰謝料1100万円
説明義務違反500万円
弁護士費用400万円


原告第7準備書面差し替え 平成22年6月1日
休業損害 平成13年7月から平成18年10月(提訴の前月)
299万9229円×58ヶ月/12月=1111万2940円
逸失利益1336万4572円


被告第5準備書面
後遺障害等級7級の根拠が不明


第5回口頭弁論 人証調べ 平成22年10月12日

執刀医尋問

EPBD 減黄のための管入れ
Tチューブ: 総胆管狭窄防止
全部とったつもりでも遺残がありうる
Tチューブからアプローチ
急性膵炎を起こすのは2-3mm大が多い。8mm大は低いだろうと。

原告代理人質問
カテーテルの替えはなかったか?
あるが、もう嵌頓に近い状態。

操作性悪くなる前に変えることは?
一回の手術で何度も取っ替え引っ替えはできない。

一回なら?
操作性だけの問題ならするかも

手技は尽くしたか?
電気衝撃以外は全て使っている。

Tチューブ造影と急性膵炎
4日のタイムラグがある。全く関係がないかと言われたら若干あるかも知れないが、直接的なことから言えば造影そのものが起こしたとは考えられないと思う。

糖尿病と手術不成功との関係
なんとも言えない。何らかの可能性はあるとしか。

ストレスと手術不成功との関係
可能性はある。

経歴は
術者1600例、助手1500例。胆道ファイバーを用いた総胆管結石は、術者40例、助手30例。


原告第8準備書面 平成22年12月13日

操作性が悪くなる前にカテーテルを替えなかった過失
胆石が8mmならば、当然それにふさわしい径の通常のファイバースコープを使用すべきだった。
「石を挟む機械が細くて挟めなかった」→石を挟む機械が細かったことに尽きる。通常径のファイバーなら取れていたことが明白。
「Tチューブ造影と膵炎を4日間のタイムラグで否定」→Tチューブ以外に考えられない。またそれ以外に考えられる要因について全く言及していない。
「うまくいってたら本人が糖尿病にならなかったかどうかというのは言えない」→およそ医師の説明になっていない。
8月8日~8月2日に医師の記載がないことについて「検査はやっていた。結果として膵炎は発症していないので、記載しなかったと思っている。」→全く理由になっていない。
8月8日のTチューブ造影の所見が全く記載がない「結果は全部分かっていた。」「特に理由はない。ただの書き忘れ」→全く理由になっていない。裁判所で言えば、期日に期日調書を作成しないのと同じくらいの異常事態である。カルテの信用性に強い疑念。
石を取り出す操作に手間取った理由「うまく取れなかったとしか言いようが無い」→医学的説明の放棄
高橋裁判官「それを使えば取りやすくなった可能性はあったか」→「可能性という言い方をすればどんなことでも可能性があったとしか言いようが無い」→医学的説明を放棄して一般論に逃げた。事実上可能性を認めた。
早山裁判官「石出断念の事態の想像」「いいえ」→しかし操作性が悪くなることは予測していた。なのに「いいえ」というのは重大な過失。
裁判官は、8mmの胆石があり、4-5mmのファイバーしか用意していない医師に手術を任せるか?6-8mmの通常のは用意していないがいいか?と訊かれて「お願いします」と言うか?絶対にない。


被告最終準備書面 平成22年12月20日
満4年も経過しているが、原告は過失の特定が不十分
甲B6号証 松田意見書にしても
1. ERCPからEPBDを選択した点に問題はない
2. 胆管12mm、結石1個で10mmであり、EPBDは適切
3. 鉗子による破砕、結石除去用バルーンカテーテル、逆噴射カテーテル、一部施設では電気衝撃結石破砕装置を使うが、これらを施行したか?
を指摘しているのみ。


原告第9準備書面 平成23年2月22日
EST困難例にはEPBDを適応する。つまりEPBDを採用したことが過失である。
平成11年3月23日最高裁判決について、
「本件手術中の何らかの操作上の誤りに起因するのではないかとの疑いを強く抱かせる」対象は、専門家や医師ではなく、「通常人(素人)」としている点にある。


一審判決
2325万9296円及びこれに対する平成18年11月22日から支払済みまで年5分の遅延損害金


一審被告 控訴理由書 平成23年8月23日
・医療専門員の関与もなく、鑑定もなく、その結果裁判官らの臨床医療に対する知見が不十分なまま、結果責任を追求するという不合理な認定に至った。
・過失認定の理由不備
・結果責任ではない
・後遺症、膵臓の障害。これに関する事実認定が完全に欠如している。


控訴審第1回弁論
患者側は控訴状にて、一審判決の弁護士費用180万円を不服と主張。また、遅延損害金計算の開始日を、一審主張の平成18年11月11日から、平成13年7月14日に請求の拡張を試みたが、その控訴審第1回口頭弁論において、概ね一審と同じに戻すことで同意。
(注:メモだと平成18年11月22日になっているけれども、11月11日の間違いかもしれない。)


一審原告 控訴審準備書面1 平成23年9月21日
一審被告は結果責任を追求するものなどと失当な批判をしている。それでいながら自ら失敗した原因につき具体的な主張・立証を一審段階から一切せず。およそ医療機関の訴訟態度として絶対に許されないことは明白。
・医療賠償責任保険の医師へのアドバイスは以下のとおり。
1.診療経過を隠さない
2.過誤には真摯な謝罪、反省をする
3.訴訟上の防御活動にも良識を
→3つ全てに反し、不誠実な対応は「確信犯」と言わざるを得ない。

不誠実な対応に関する判例
名古屋高裁昭和61年12月26日、カルテ改ざん等(判例時報1234号)
仙台高裁平成2年8月13日、判例タイムズ745号
青森地裁平成14年7月17日、バルーンカバーとり忘れ(最高裁ホームページ)


一審被告 控訴審準備書面1 平成23年11月22日

原告代理人質問
なぜ石が取れなかったか?
→ 取り出す操作をいろいろしてみたが、その中で石を操作する中で、胆管内の壁が浮腫を起こして、操作の中でどうしても押し込めてしまった。浮腫で石がはまりこんだような状態になってしまった。

高橋裁判官質問
浮腫は手術していると当然出るものか。
→ はい。特に粘膜面は。
時間がたてばたつほど出るか。
→ はい。長く刺激すればするほど。
最初の胆嚢管からの操作によって既に押し込んでしまったので取れなかったのか?
→ はい。

原判決で、結石除去ができないことについて
「執刀医は、経胆のう管法による採石について、結石を取り出す操作に手間取り、手術自体が通常より長時間かかったこと、手術操作により粘膜面を刺激することになり、長く刺激するほど浮腫は出やすくなること、結石を押し込めてしまったことと浮腫が合わさって結石が抜けなくなったことをそれぞれ証言し」と認定している。これが理由である。
原因説明はこれで十分と思料するが、原判決は「何らその原因説明ができていない」とする。しかし、大多数の臨床医に同様な質問をしても、恐らく、それ以上の原因についての主張・立証のしようがないとの見解が表明されるものと思料する。それゆえ、過失の有無、因果関係の鑑定が必要と主張しているのである。

要するに、原判決が求める結石除去ができなかったことについての「具体的な主張立証」が、いかなる事実を想定しているのか全く不明である。加えて、裁判官においても求釈明もせず、判決時点において主張立証がないとの断定は、自らの審理不尽を棚に上げて、かつ一審原告が本来負担すべき過失についての主張・立証責任を何らの根拠なく原審被告に転嫁するものであり、極めて問題のある判決と評する外ない。

執刀医の上級医である○○医師の意見でも、正直これ以上の説明は困難ということであった。

逆に一審原告において、胆管内の浮腫が原因で結石が嵌頓している場合、どのような手技を用いれば結石除去が可能となるのかを具体的に明示すべきである。これが注意義務違反=過失の主張となるはずだからである。

因果関係
・手術に過失はない。
・残った結石のフォローの過失の有無にかかる。
・8mmの結石での膵炎合併は予見できない。


高裁終結後提出意見書 東邦大大橋 長尾二郎
いたずらに手技を継続しなかったことで、更なる浮腫を招くことを回避したことにより、結果的には第二病日に経口摂取が開始できるほど順調に回復したものと考える。


高裁で和解、1400万円


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