行き当りばったり医療訴訟事件・判決概要等

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最初の提訴、平成20年(ワ)第14089号

原告代理人 伊藤紘一
被告代理人 平沼髙明、平沼直人、ほか

訴状から

平成15年1月18日の手術内容が軽的に記載なし。
16時のドレナージ入れ替えのあと、21:30に飛び、22:00、22:35の記載に次いで、20:15に戻り、後で切り貼りしたあとがみられる。

過失と因果関係
・便器をさし込まず、紙おむつ、ベッド上安静が必要だった。この時点では十二指腸潰瘍がなかった。
・本人の病状チェックを十分に行わず、書類のみで重度ハイリスク患者と決めつけ、便器をさし込み、決して動かしてはいけないのに。64kgの患者は体がよじれ(峰村注:ちなみに身長は152cm、66歳)、胆嚢に刺さったチューブが十二指腸に刺さって大量出血をした。
・それまでは出血(-)だった。被告のいうストレス性潰瘍の説明はおかしい。内科では髪を洗ったり電話をしていた。ストレスがあったとすれば、18日のチューブ交換時の手技の荒さか、20時の便器のさし入れだ。手技ミスなら16時~18時に出血しているはずなのでそれはなく、原因は便器のさし入れだった。

損害
死亡時66歳、236万円×20年??(詳細不明)=2470万4668円
慰謝料 2400万円
原告B(夫)固有の慰謝料 500万円
弁護士費用 537万0466円

答弁書(被告側の反論)から。

・原告らの主張は、損害賠償責任に関する要件事実とは無関係のものが多数あり。認否、反論の対象として適切でないと考える。
・ベッド上の排便は全く問題ない。
・画像上、チューブや穴は見られない。ドレナージチューブは柔らかいシリコン素材で先端を丸めた状態で留置。これが胆嚢を突き破り、十二指腸に刺さったとは考えられない。
・ストレスについては、医学用語としてのストレス潰瘍を完全に誤解している。
・損害額。原告らの請求は、まるで患者が健康人であったかの如き計算。本人は胆石症、胆管炎、肝硬変、糖尿病、高血圧、心不全で重度のハイリスク患者だった。
・論点の多くのことが、3年近くに及ぶ原告らの十数回にもわたる質問に対して、被告病院が回答してきたもの。原告らの思い込みの激しさと頑固さ、執拗さは上記過失論や因果関係論においても、本訴訟に先立つADRにおいて上述同様の説明をしているにもかかわらず、従前どおりの言い分を闇雲に繰り返していることに見て取れる。

平成21年3月25日、原告上申書

医療事故情報センター協力医に相談したところ、むしろ死因は心筋梗塞だと。
19日 CK 15000, CKMB 360, 20日 CK 21630, CKMB 1416 なのに、血小板輸血をしていることが問題とのアドバイスがあった。現在、循環器内科医師を医療事故情報センターで探しているので、次は3ヶ月くらい猶予をほしい。

訴え取下げ。

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出直し提訴、平成21年(ワ)第31845号

原告代理人 伊藤紘一、ほか1名
被告代理人 平沼髙明、平沼直人、ほか

判決平成23年2月3日、請求棄却

患者A 昭和11年9月生まれ、平成15年1月21日没
X病院。胆石胆嚢炎で入院。
ドレナージ交換後、十二指腸潰瘍から出血、多臓器不全。

原告の主張(争点)

争点(1). 問診、説明なくしてドレナージ交換した義務違反
争点(2). Aのカルテに他人のカルテを混入し誤記入した
争点(3). 術後の安全管理義務の違反があり、これがなければ相当程度の生存の可能性があった。

裁判所の判断

認定事実

既往症 平成11年12月28日から心不全。昭和61年から高血圧、脂肪肝、平成5年から糖尿病、平成12年胆石26mm 平成13年肝硬変

平成15年
1月2日 右季肋部痛→胆石嵌頓疑いで内科入院。超音波にて胆石嵌頓を認める。抗生剤投与。肝硬変は Child A
1月3日 BT 38℃、CRP 10.6 胆嚢炎の判断。このまま経過観察ではショックの可能性高いと説明。ドレナージチューブ 7fr.
1月5日 110ml胆汁流出
1月6日 BT 37.2℃、CRP 5.1 外科に手術適応につき相談
1月14日 微熱(+)、腹痛(-)。外科から手術適応ありと伝えられる(開腹下胆摘)
1月16日 外科転科。WBC 8600, CRP 0.6, GOT 119, GPT 75, LDH 430, ALP 369
凝固能低下、腹水貯留、低アルブミン血症、低栄養。Child C. DMコントロール不安定、HT、心不全傾向、原因不明の肝硬変。重度ハイリスクと評価。
1月17日 BT38.6℃、WBC 14800, CRP 1.8, GOT 354, GPT 275, LDH 118, ALP 426, 腹満顕著。担当医が胆嚢炎、胆管炎を疑い、抗生剤とγグロブリンを投与。
1月18日 朝、胆嚢周囲膿瘍疑い。チューブからの胆汁が7:30から少量になり、緑色調で混濁。チューブ閉塞の可能性あり、ドレナージを 7fr.から8fr.に交換必要と判断。
原告に対して胆汁汚染、発熱、採血から胆嚢炎増悪、チューブ拡張必要、術前の状態としては非常に悪く、手術どころか急変する可能性もあること等を説明。原告はチューブ交換に同意。
14:00~16:00の間の30分間で、透視室で交換。
穿刺部から漿液性の腹水が多量に排出。
18:40 BT 38.7℃、BS↑, 意識やや低下。解熱剤で経過観察。
20:00頃 ベッドで便器排泄。
20:15 急激な酸素飽和度の低下。意識低下。
20:30 BP↓、Hb急激な低下、出血性ショック状態。
まず、チューブ入れ替え時の出血を疑うが、腹水が漿液性で否定的。次に食道静脈瘤破裂疑い、経鼻胃管を挿入。700ccを超えるコーヒー残渣様排液→23:00、CCU転室。上部消化管内視鏡決定。
21:30頃及び22:35頃、原告らに対し、出血疑い等の説明。
1月19日
0:00頃、内視鏡施行。十二指腸球部に潰瘍(+)、拍動性の出血(+)、クリッピング止血→説明。
6:00頃、経鼻胃管からコーヒー残渣様排液。
12:30頃から 内視鏡→球部前壁から出血(+)→再度クリッピング
1月20日
再度内視鏡。拍動性出血(-)
血液生化結果、著明に悪化。
CHDFを施行。
原告らに多臓器不全とDICで厳しい状態と説明。
1月21日
22:11 心停止
23:33 出血性十二指腸潰瘍によるDICで死亡

争点(1)

(1)問診義務。
・原告は、診療の基本は問診に始まる旨述べるのみで、ドレナージ交換判断に当たって如何なる問診をすべきかの具体的な指摘がない。
・チューブ交換の判断は合理的。
・原告は、きちんと問診していたら、毎日酒を1合飲んでいたということにはならず、ハイリスク患者とも判断されなかったと思うと主張 →問診で対応が変わったとも考えられない。
(2)説明義務違反
・医師の陳述もあり、何ら説明なく行われているとは考えにくい。同意も得ている。
・カルテ記載がないが、簡単な説明についてはカルテ記載がなくても不自然とはいえない。

争点(2)カルテ混入
・他人のカルテ「身長170cm、体重70kg、食事を作るのは主に妻、タバコは以前吸っていた。酒はビール350ml」、及び他人のCT所見が混入していた。
・この事件本人の問診票:タバコ(-)、酒は週に1~2回、ビール200ccも存在。これにより診療に影響はなかった。
・原告らはこのカルテ混入により、本人のアルコール歴を1日1合30年と記載し、それがハイリスク患者と判断する誤診につながったと主張する。→そのせいだとは考えにくい。
・「アルコール1合/日×30年」の記載につき、原告は虚偽だという。→本年より3年以上前の平成11年の問診で、本人が1日1合30年と回答した旨の記載がある。虚偽とは認められない。
・また、被告は肝硬変の原因をアルコール性とは診断していない。
・その他の虚偽記載の主張 → その証拠もない。不審な点もない。

争点(3)術後の安全管理義務違反
・原告は、ドレーン後4~6時間の安静を要するのに、4時間で無理に体を持ち上げ、便器を挿入した過失を主張
・文献でも4~6時間後には歩行OKとしている。違反は無い。

なお、原告らはストレスによる潰瘍を主張。
→敬意から、疾患自体により既に身体的に高度のストレスあり。したがって、ドレーン交換、説明の有無、便器挿入等で結果が変わったとは考えられない。

証人尋問は原告本人のみであった。


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