加古川心筋梗塞訴訟(加古川市民病院事件)記録閲覧メモ


乙A1号証(カルテ),ページ振りが修正液や修正テープで修正されていた。


死後の家族へのムンテラ内容の部分に「モニターを取っていたが stableでベッドに移して急変した。」の記載あり。

乙B1号証
EBMに基づく急性心筋梗塞診療ガイドライン じほう


答弁書

第2
2.まず,高砂市民病院に受け入れ要請を行っても受け入れ受諾の回答があるとは限らず,更に転送先を探さなければならない可能性もあった。休日であったにも関わらず,最初に要請した病院から受け入れ了承の回答があったことは誠に幸いであった。

本件同様受入了承連絡を受けて救急車到着まで約35分を要するとすれば,救急車到着時刻は13時20分ごろ。高砂市民病院処置室に運び込むまでに20分ほど(走行時間は10分強程度)。その時点で13時40分。診察完了時刻は早くても13時50分。CAG施行なら6人のスタッフが集まるのに少なくとも60分程度,90分以上の可能性が高い。

本人も,血液検査結果が届いてから陰性だったが,心電図上急性心筋梗塞が強く疑われたので搬送することにした。

その日の日直勤務に着いたころ,夜間宿直の医師が,その日の深夜1時半ごろに神鋼加古川病院に心筋梗塞患者の受入れを依頼したが心電図で異常があっても血液検査所見で心筋梗塞と確信できる根拠がないと言われて,受入を渋られたと聞いていた。


その渋られた患者のカルテより

 以上data含め,神鋼加古川病院循環器内科医師に転院を含め consultしたが,CPKが normal range, chestpain の訴え強くない(dyspnea 主)etc より 急性心筋梗塞否定的とのことにて rejectされる。
当院入院
↓←持続div, ミリスロール 1ml/h
↓ DOA 4γにて様子見る(4:30~)
入院後4:30の段階にて
|dyspnea持続
|BP↓ (DOA 8-10γにて100前後)
|ECG 再検上もV4-V6にてST↑
より5'に姫循当直DrにTEL
→QQ搬送


乙A4 担当医陳述書より
1.経歴
2.当直は1人だった
3.内科外来多忙だった。
看護師記入の当直日誌に,9:44~11:45の間に,狭心症,肝性脳症,喘息,脳出血など
4.Aさんは12:15来院。そのころ入院患者何人かの診察と1~2名くらいの患者の抗癌剤を取り替えていた。
5.抗癌剤の取替えは厳重チェックがあり時間がかかる。看護師から「患者が来た」との報告あり。入院患者診察後に処置室へ。
6.胸痛から心疾患を疑う。血液検査 order. ECG指示。心筋梗塞疑い。
7.血液採取12:39は,オーダー打ち込み時間。問診はその1~2分前。
8.検体受け取りは12:50
9.ECGは12:25~というが,検査技師の間違いだと思う。
10.トロポニンTを自分で検査した。陰性だが心筋梗塞を疑った。
11.休日深夜は受入を断られ易いので,できる検査は実施してから頼みたいと考え,採血結果待ち。機械の不調もあり結果が遅れた。
12.結果が手元に届いたのは13:40ごろ。結果に心筋梗塞示唆する所見はなかったが,ECG上心筋梗塞を疑った。当初の予定通りCCUがありCAGのできるところに転送した。
13.私はその日の日直勤務に着いた頃,夜間宿直の医師がその日の深夜1:30ごろ神鋼加古川病院に心筋梗塞受入を拒否され,姫路循環器センターにはその日1人受け入れてもらったばかりで同センターも多忙と考え,高砂市民病院に依頼した。
15.以前加古川市民病院勤務していた時代に,高砂市民病院に心筋梗塞受入を何回か依頼し何度も断られた経験があり,Aさんも休日で断られるかもと思ったが,幸い受け入れ了承すると連絡があった。
16.救急車到着。ストレッチャーに移す直前に急にAさんの容体悪化。移しかえたころ身体硬直。意識消失。14:30
17.Aさんの意識消失時,痙攣あり。すぐ痙攣はおさまったが意識は戻らず。脈触知あり。
18
19


陳述書(2)
(8)脈触知あり,乱れなし
(9)脳梗塞を疑いCT室へ。途中で呼吸停止。


尋問調書より

乙A1カルテ示す
「ミリスロールIV開始するも症状軽減しないため,高砂市民病院へ転院」と書かれている。ミリスロールで一応様子を見たが,症状軽減しないので転送を決めたと読めるが?
------ この文章からそう取られるかと思うが,実際には痛みと心電図から常に転送を意識していた。

心電図の結果が出た段階で決めたと。
------ ほぼ決めたと思う。

ほぼというと,まだ様子を見ようというところもあったか?
------ 確実に(転送を)取っていただきたいという気持ちもあった。

[ここに,未明に神鋼加古川病院に断られた症例に関しての尋問あり]

明確に心筋梗塞と確定診断できる程度の症例まで断られたケースがあるのか?
------ どこで循環器の医師が引き取ってくれて,若しくは引き取らないという,そのライン分けというか線引きが良くわからないという思いだった。

結果が出てから転送依頼するというのはどうなのか。結果が出る前に,オーダーを出すと同時に転送依頼するということはできなかったのか。
------ それも可能とは思うが,ある程度資料をそろえて,自分のところでできる分の検査をそろえて転送先に相談しようと思った。

・・・

[急変時のこと]

カルテの記載の内容からすると,Aさんの急変時の症状というのは,致死的不整脈を起こした早期の臨床症状と一致していると言えないか。
------ ある程度合うと思う。

ただこのときは致死的不整脈ではないと診断したのか。
------ 完全に否定したつもりではなかったけど,その時点で脈を触れたということが,やっぱり致死的不整脈でない可能性もあると考えた。

脈触知との記載は,2年半以上経過した後に作成された乙A4号証の陳述書で初めて現れる。陳述書(2)にも「すぐに手首の脈を触ると,脈拍はあった。脈の乱れも感じなかった。」と。
------ 脈は実際にはある程度弱いと思うが触れていた。左側だけだ。左右差は考える余裕がなかった。

モニター
------ ストレッチャーに移しかえる直前まではモニターは装着していた。

モニターを装着したという記載は(カルテには)ないが。
------ 書く場合と書かない場合があると思う。

でも当日の処置はすべてカルテに記載されているが。
------ ・・・

心モニター以外は全部書かれている。心モニターのことが出てくるのは,20ページの家族への事後の説明の記載事項で出てくる。後でまとめて書かれた。
------ はい。

ここだけにしか出てこない。
------ はい。

心モニターを装着していて,何も問題がなければカルテの進行記録に書かないのか?
------ 異常がなかったら書かないまま,診察は進んでいくと思う。

14:08にアナフィラキシーショックの患者が来た。
------ はい。

前夜あるいは当日未明の転送拒否例については?
------ 細かいところまでは知らない。


被告第2準備書面
第1 治療による救命の可能性
1. 高い死亡率
 WHO報告では50%,わが国では急性心筋梗塞の致命率30%
2. 発症2時間内の死亡率
(1)WHOでは,8割が2時間以内の死亡,その後に残りが死亡。
(2)わが国では,2時間以内に半数が死亡すると言われている。はっきりした国内統計はない。仮に30%で半数なら,2時間経過後の死亡率は15%


被告第3準備書面
3. 森医師は,「K病院受診後直ちに転送された場合」の死亡率が10%以下であると述べているので,上記統計を専門施設における下壁心筋梗塞患者死亡率が10%近いことを示す統計として引用していることになる。そして,森医師は,専門施設に転送していたら90%は救命できたというのであるが,この意見が専門施設に転送した場合の救命率を示すのであれば,専門施設に転送しなければ下壁心筋梗塞患者は100%死亡することを前提とする誠に乱暴な議論になってしまう。


被告第4準備書面
3. 死亡率について
(1) 森医師は「受診後直ちに転送されていた場合,下壁心筋梗塞の死亡率は10%以下であることにより,90%以上生存していた可能性がある」と意見を述べている。その趣旨が,専門病院に転送するのが50分でも遅れると100%死亡するが,直ちに転送すれば死亡率は10%以下になるから,50分ほど早く転送することによって(森医師の見解では1.5時間遅れ),90%以上の確率で究明できたという意味であるとすれば,それは明らかに根拠のない誤った見解である。

3. 専門施設内の死亡率
(1) 再灌流療法を中心とする専門施設に収容されてからの死亡率は10%以下。
(2) また,このような専門施設内に収容されるのに,発症後平均3時間25分。2時間経過してから専門施設に収容されるまでの間に死亡した人数は,2時間内死亡率にも,専門施設収容後の死亡率にも含まれていない。すなわち,施設に収容されるまでの平均的な時間を経過した時点の死亡率は,2時間経過した時点の死亡率10乃至15%から,2時間経過後から収容されるまでの約1時間半の死亡率何%かを差し引いて考えなければならない。
 そうすると,専門施設に収容されてからの死亡率の改善もわずかなものであるということになる。残念ながら,それがその当時の,また,現在の医療水準の実情なのである。


原告側提出鑑定書は森功医師
被告側提出鑑定書は石原正医師(大阪医科大学循環器内科准教授)


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