裁判員制度に「責任を押し付けるな」という理屈

私は裁判員制度には原則反対なのですが,それでも以下のような「責任を押し付けるな」と主張する活動には「どうかな~」と疑問を持つものです。

裁判員制度反対、各地でデモ 「勝手に名簿載せるな」
 来年5月から始まる裁判員制度に反対する弁護士や市民らが22日、仙台市、東京、福岡市で集会を開き、繁華街などをデモ行進した。反対行動は2月の日弁連会長選で制度廃止を主張した高山俊吉弁護士らが呼び掛けた。28日に裁判員候補者名簿に記載された人へ通知が送付されるため「通知が届いたら、勝手に名簿へ載せたと抗議しよう」などと訴えた。
 約600人が参加した東京都千代田区の集会で、新潟県弁護士会の高島章弁護士は「人を死刑にする権力を国民に担わせる制度だ」と批判し、漫画家の蛭子能収さんも「自由を束縛するので反対」と指摘。
 その後、約250人が銀座などをデモし「裁くことを押しつけるな」などと声を張り上げた。
 福岡市中央区天神の公園には弁護士や市民団体メンバーら約30人が集合。大分県豊後大野市の益永スミコさん(85)は「いや応なしに集められ死ぬまで秘密を守らせる制度は戦中と同じ。もうあんな思いはしたくない」と話した。制度をPRする検察庁のキャラクター「サイバンインコ」に対抗した着ぐるみ「裁判員制度はいらんインコ」も登場。参加者と一緒に天神をデモした。
 仙台市の弁護士会館に集まったのは約90人。東北大の小田中聡樹名誉教授は「裁判官らが主導・管理する司法に国民を強制的に動員し、被告に裁判の受け入れを強制する巧妙なシステムだ」と批判した。
2008/11/22 19:05 【共同通信】

日本国民として,それなりの義務があってもそれを一概にダメといっていては,そもそも国が成り立たなくなる場合だってあります。「人を死刑にする権力を国民に担わせる制度だ」と言っても,そもそもそのような権力は建前上国民の同意の上に成り立っているわけでして。
私が裁判員制度に反対する理由は,「先入観なく証拠を判断したり量刑を決めたりする裁判官の仕事は,簡単なものではない。長年の訓練を受けてようやくできるものであり,そこに一部とはいえ一般人が入って判断を任せることは,判断の誤りを招く原因になる。」というものです。付け加えるならば,「専門職である裁判官に失礼な結果につながるのではないか」というものです。
私は裁判員制度ができるくらいならば,医療にも医療員制度を創設して,一般人からくじ引きで医療チームに入ってもらい,医療の一部を担ってもらえばいいだろう,と思っているのですが,普通に考えればそんな制度は医療者も国民もまっぴらごめんだと思うでしょう。裁判員制度もそれと同様に思います。ただ,それが単に「責任の押し付けはやめろ」といわれて反対されることには,どうにも同調ができません。

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