カテゴリー「医療問題」の記事

眼科の予約と待ち時間について

2012年6月1日

以前に勤務していた病院で配布した、眼科の予約と待ち時間についての説明書のご紹介


いつも大変お待たせして申し訳ありません。眼科の予約のしくみと待ち時間に対する見解をお知らせします。
◆ 予約のしくみについて
例えば、9:00の予約の場合、実際には9:00~9:30の枠に1医師あたり3人の患者さんの予約となっています。10分刻みで1人ずつの予約にしても、時間通り・順番どおりに進む可能性は低いので、30分という大まかな枠で決めており、9:00の予約の方は、9:00~9:30の間に診察・検査を開始することを目標とします。
◆ 予約外の受診について
予約外の方は、予約枠の予約の人が終了した後、次の予約枠までの間に診察します。
◆ 予約の方が予約時間よりも早く来院された場合について
例えば11:00予約の方が9時に来院した場合、予約時間の11時までは順番が優先されず、予約外と同様になり、空いた時間があれば診察いたします。11時になりましたら優先されます。
◆ 予約の時間通りにならないことが多い理由
一言で言えば、「予約の時間通りに診療を進めるためには、予約の予定時間が過ぎたら患者さんの診察を直ちに終了することになるので、十分な診察ができなくなるから」ということになります。そのようにした場合には、あなたに対しても十分な診察ができなくなる場合があります。
余裕を持って診察するために予約枠を大きく取ると、今度は予約枠自体が少なくなり、一部の人しか予約が取れなくなります。その場合は急を要する病気の人や、連日通院が必要な病気の人など、定時に診察する必要性が高い人を優先せざるを得なくなり、逆に1ヶ月毎の通院などの定期的な受診の方には予約をお取りせずに、予約外の受診を指示することになります。
さらに、以下のような事情もあります。
1. 予約の方も予約外の方も、実際に診察してみないと所要時間が分かりません。例えば、診察と処置に30分かかる人がいれば、それだけでそれ以降の予約時間がすべてずれ込みます。30分かかる人が3人いれば、それだけで1時間以上遅延してしまいます。
2. 眼科では、診察の前にさまざまな検査があり、しかも患者さんによってまちまちなため、予約診察の進行を完全に管理することができません。
以上、大変心苦しい説明になりますが、ご理解賜りますようよろしくお願いします。
○○病院眼科

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総合病院での、医師の交替についての説明

2012年6月1日

医師の交替について
総合病院のほとんどでは、勤務医師がしばしば交替します。現在○○病院眼科には、◇◇大学医学部眼科学教室に所属する医師が、その◇◇大学眼科の指導で○○病院に赴任しています。この体制の利点は、眼科学教室側で医師を多数確保し医師の職場を安定して割り当てると共に、病院側は自力では難しい医師確保作業を眼科学教室にお願いしておくことによって、安定的に医師を確保でき、また急な欠員などにも柔軟に対応できることなどです。また、医師としても、日々常に新しい知識を得て診療技術の向上に努める必要があり、その一環として、さまざまな職場でさまざまな症例(患者さん)を診察し、考える訓練をする必要があると考えられます。逆に言うと、同じ職場にあまりに長い期間在籍すると、刺激に乏しく診療パターンが硬直化して、新しい診療技術習得が疎かになる可能性があります。そのようなこともあり、医師の交替は医師の質の向上、ひいては日本の医療水準向上に必須なものと考えます。通常の会社組織のように急な職場異動を指導され、患者さんに浸透しないうちに異動になることも少なくなく、この点は改善の余地があると思いますが、医師がしばしば交替すること自体は、上記の通り必要なことだと考えます。
このようなことから総合病院で継続受診する場合、特定の医師にかかりつけるという考えは成りたちにくいものです。今後も、たびたび医師の交替があると思いますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

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メルボルンにすむオーストラリア人(非医療者)から聞いた話。

2010年10月1日

私の入っているサイバーグループの知人の日記の話を,了解を得て紹介します。

腰痛と膝関節痛が生じ、ひどくなるのでまずかかりつけの家庭医(数人の医師がいるクリニック?)を予約。人気があるフィリピン系や中国系の女医さんは予約がとれず。人気がない医師の診察をうけることに。痛いと訴えるも最初は「経過観察」。
それでも治らないので再度家庭医を予約。やはり人気の女医さんは予約できず。人気がない医師に治らないからと食い下がって検査をお願いしたところ、しぶしぶレントゲンの予約をとってくれた。別の日にレントゲンをとりにいったところ、骨密度が低いことが判明。
再度採血の予約をとりビタミンD、カルシウムなどをチェック。その結果を聞くために再度家庭医を予約。ビタミンDがやや低いことが判明。
人気がある女医さんはまたもずっと先にしか予約がとれず、またまた人気がない医師を受診。それでも(予約なのに)1時間待たされた上に「若いのにね~。まずビタミン剤を内服したら?」といわれる。今ひとつ骨粗しょう症について詳しくないので不安を感じる。
きちんとした治療が受けたくて、内分泌専門医への紹介をお願いし、紹介状を書いてもらう。数週間先に予約がとれた。久々にドクターの名前が英国系でちょっと期待。(家庭医の多くがインド、中国、フィリピン人だとのこと)
専門医は20分の診察時間中、書類に目を通しただけ。(紹介状の検査結果を見ただけの様子)
医師へのドクターフィー180ドルを支払い、結局「ビタミン剤を飲んで経過観察しましょう」だったとのこと。
「ハローの一言で1ドル、握手で1ドルが飛んでったよ~!」と笑いながら語ってましたが、、通院するたびに仕事を休んでるんですよね。。
でもこれが普通と思ってるんです。ドクターフィーも専門医なら払うのが当然。早く医師に診てもらいたければ、ドクターフィーが高くても当然と思ってます。
日本の医療、これに比べたら患者さんに優しいな~と改めて思いました。「夜中に専門医に見て欲しい!」なんて言えるの、日本くらいですよね。。。

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妊産婦死亡数が大野病院事件のおかげで減ったとか言っちゃってる人がいるらしい

2009年11月15日

月刊ナーシングという雑誌で報告されたようなんですが,そのことがこちらのブログに載っています。
http://suzume6.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-2790.html
「ホントかよ?」と思って,他所で入手したデータから,
http://winet.nwec.jp/toukei/save/xls/L100220.xls
ここ14年間の妊産婦死亡数の推移をグラフ化したんですが・・・

画像

直観的には,大野病院事件以前の2003年から減少しているように見えます。

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尊厳死を認め,人口呼吸器をはずすよう命じた判決。但し韓国で。

2008年11月29日

朝鮮日報より。原文は韓国語。
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2008/11/28/2008112801416.html

[社説] 国会が尊厳死を認める法を作る時が来た
ソウル西部地方裁判所が,脳死状態の75歳女性患者の家族が延命治療を中断するよう病院に対して起こした訴訟で “患者の回復可能性がなく生命維持治療が無意味であり,患者に苦痛だけを与えると判断される”と人工呼吸器を外すよう判決した. 問題の患者は去る2月,病院で気管支内視鏡手術を受けている最中に,肺血管が裂けて意識不明に陥った. 今回の判決は一審ではあるが,回復の可能性のない患者が延命治療なしに人間らしく死ぬことができる尊厳死の権利を認めた初の判決だ.
最高裁判所は1997年,保護者の要求で脳手術患者を退院させたポラメ病院の医師らに対して殺人幇助罪を適用して執行猶予の有罪判決を下したことがある. しかしその後尊厳死を認めなければならないという社会雰囲気が形成されるにしたがって,国内の大規模病院では末期患者が延命治療を受けないという ‘蘇生術拒否(Do Not Resuscitate・DNR) 誓約’をすればその意思を認める制度を慣行的に施行して来た. ソウル牙山病院の場合,毎年 150~200人の末期患者が DNR 誓約を通じて自然な死を迎えている.
今回の場合は,患者が手術の過程で一瞬のうちに脳死状態に陷り,尊厳死に関する自分の意思を明らかにした経緯がないことから訴訟に至った. これに対し裁判所は “患者が 3年前心臓病を病んだ夫の生命延長のための気管切除術(切開術?)を拒否した点と,平素から生命維持装置に依存することは嫌だと語っていたという事実を勘案すると,意識があれば延命治療を拒否したことが推定される”と治療中断判決を下した.
アメリカでは1989年,末期患者権利法が制定された後,不治の病や認知症にかかった時,どの程度まで治療を受けるかについて自分の意思を表明しておく ‘生前遺言(living will)’が活発になった. 日本も尊厳死宣言に署名した人が 10万名を越えると言う. 我が国民も 88%が尊厳死に賛成している.
回復の可能性が全くない患者に心肺蘇生術, 強心剤, 人工呼吸器などの延命治療をすることは無意味だ. 機械装置を何本も体に取り付けて苦痛の中で惨めな死を迎えることを望む人はほとんどいないだろう. 末期患者の蘇生術拒否誓約制度まで一般化しているというのに国会が尊厳死を認める立法をこれ以上先延ばす理由はない. 立法を通じて,どのような状況でどのような方法の治療中断が可能なのかを明確にしておくことが, 法と現実が異なるために生ずる混線を無くす道である.

日本の医療訴訟の判決文をいろいろ見ている立場から考えると,勇敢な判決だと感じました。

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