日本の優勝を喜んだであろう或るアメリカ人について

2006年3月22日

日本の優勝を喜んだであろう或るアメリカ人について

2000年10月の雑記で或るアメリカ人の話を書いた。

シアトルのユースホステルでのお話。
15年ほど日本に住んでいたという40歳近いアメリカの女性が泊まっていた。日本語ができるのでいろいろ話したが,いつしか野球の話になった。
「私は巨人が大好きだった。巨人の野球を観に行って大声で応援したものだった。アメリカに戻ってきてからも野球は観るけれど,巨人を応援するように熱狂的には観れない。」
巨人のことを口にするだけで,遠い目になっているようだった。
「誰がやってた頃ですか?」
「最後の頃は監督が川上さんで,長嶋,王,藤田…」
「長嶋とか藤田はその後巨人の監督をやったんですよ。長嶋はいいときと悪いときがあったけど,藤田は優秀だった」
と,かつてのヒーローがその後も活躍していることを伝えると,言葉無く目が潤み出した。彼女にとっての強固なマイチームが,彼女が離れていた時間を超えて,連続性を見せながら彼女の琴線に迫ったのだろう。

彼女が今年の日本シリーズを観ることができていたならば,彼女はどんな気持ちで観ていただろうか…

今回のWBCで王貞治さんは、50歳を超えた彼女の前に、現役野球人として20年以上振りに再登場したことになる。そして、彼女は王ジャパンの準決勝の快勝を、そして優勝を、 普通のアメリカ人とは違って特別な喜び と共にたたえていることだろう。

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