カテゴリー「医療問題」の記事

「患者の自己申告を信じるな」

2007年12月9日

患者さんが持っていた母子手帳の記載を信じて診療行為を遂行したら医療事故が起こり、実はその母子手帳の記載が間違っていたことが判明したという事例。
患者さんの中には、何らかの検査をしようとすると、「この間検査したばっかりなのに、またするのか」と言い出す人が時々いるけど(これを読んでるあなたもそう思うことありませんか?)、相当重要度が高いと思われる「母子手帳」ですら信じるなということなので、必要な検査は何度でもやらねばならないことになります。
かくして医療費はどんどん増大してゆくのです。
以下、毎日新聞より。
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医療ミス:Rh不適合、乳児が黄疸 妊婦の血液検査怠る--中津の医院 /大分
中津市上宮永の産婦人科「おだクリニック」(小田高明院長)で8月末に生まれた男児が、母親の血液型の検査を怠った医療ミスで重い黄疸(おうだん)症状になり、中津市民病院に転送され、42日間入院していたことが分かった。
母親らの話によると、母親の血液型はRhマイナス。男児はRhプラスだが、小田院長は「(母親が長女を妊娠した時に作成した)母子手帳にRhプラスと書いてあるので、そう思い込んでいた」ととして、男児の妊娠時、血液型の検査をせず、母親に抗体ができるのを防ぐ「抗ヒト免疫グロブリン注射」も分娩時にしなかった。
男児は誕生翌日、黄疸がひどくなり中津市民病院に転送され入院。母親もその2日後、貧血で同病院に転送され、検査したところ血液型はRhマイナスと分かり、男児の黄疸原因はRh型不適合と判明。光線療法と輸血をした。
小田院長は母親らに「血液検査をしなかったのは申し訳ない。話し合いは誠意をもって尽くす」と話したという。取材に対し院長は「医者は結果責任がすべてです。この過失以降、自己申告などとは別にすべての妊婦の血液型検査をしています」と話した。母親は「輸血の後遺症が心配です。二度とこのような誤診をしないでほしい」と訴えた。【大漉実知朗】
毎日新聞 2007年12月8日

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『目の薬師』新井薬師さんで厄除け

2007年11月18日

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思うところあって新井薬師さんに厄除けをお願いに出かけた。新井薬師さんは東京都中野区にある薬師さんである。

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30分に及ぶ厄除け法要が終わると、足を抱えてのた打ち回る人が多数出現。筆者も同様。
ところで新井薬師さんは眼病治癒にご利益があるという。ホームページによると、江戸時代に「特に、二代将軍秀忠公の第五子和子の方(東福門院)が患った悪質な眼病が、祈願して快癒したことなどから「目の薬師」と呼ばれ、」ということだ。どんな眼病だったのだろうか。
さて、目医者の私としてはそのご利益を受診される皆さんにもとの思いで、診察室に置くためのお守りを頂いてきた。

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こういうものが診察室においてあると、患者さんは却って驚くかもしれないが(笑)、気は心だから、まあいいや。
薬師さんから続く小さな商店街は「薬師あいロード」。シンボルマークも目をモチーフに作られている。

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以上、『目の薬師』新井薬師さんへのプチ旅行でした。

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国が乱診乱療を後押ししています!

2007年11月11日

なんかこれまで2回引き下げた医療費(診療報酬)をまた引き下げるようなんですが、医療機関がバタバタ倒産している状況で、さらに収入を減らさせてどうしようというのでしょうかね。
診療報酬を下げるということは、一人診察したときの収入が下がるということなわけで、それでも赤字を免れようと思ったら、そりゃ数をこなして収入を増やすしか、あるいは一人当たりの医療行為を増やして収入を増やすの、どっちかしかないじゃないですか。
つまり、暗に国は乱診乱療を推奨しているってことなわけですわな。
ま、少なくとも「給料は減らすけど、さらに充実した仕事をしてね」って言われて、そのとおりできる人は普通いませんです。
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診療報酬:08年度に引き下げ 財務省が方針固める
財務省は5日、医師の給与などに充てる診療報酬を08年度に引き下げる方針を固めた。08年度予算の概算要求基準(シーリング)では、少子高齢化に伴って増え続ける社会保障関係費を約2200億円圧縮することを決めており、「確実に達成するには、大幅に増加が見込まれる医療分野の見直しは不可欠」と判断した。日本医師会は「過去の厳しいマイナス改定で医療崩壊が現実化している」と大幅引き上げを求めており、改定率が決まる年末に向けて調整が難航しそうだ。
財務省が5日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で示した試算によると、デフレが始まった98年度を起点に、07年度までの人件費(人事院勧告)と物件費(消費者物価指数)の推移をみたところ、人件費と物件費の加重平均は4.4%減になった。一方、薬価改定を除いた診療報酬本体は0.8%減にとどまっており、財務省は「近年の賃金や物価の下落を十分反映できておらず、引き下げの余地はある」と求めた。
財政審で異論はなく、今月下旬にまとめる建議(意見書)に盛り込む。国民医療費(患者負担含む)は06年度は約33兆円で、25年度には56兆円に増加する見通しだ。医師などの人件費はそのうち約5割を占めている。
日本医師会は10月30日、地域医療支援や医療安全対策、医療の質確保の費用として5.7%の診療報酬引き上げを求めた要望書をまとめており、今回の財務省の方針に対する反発が予想される。診療報酬は1%引き下げると医療費ベースで約800億円の削減につながり、前回の06年度改定では過去最大の3.16%引き下げた。次は08年度が改定期となる。
医療分野では医師不足など深刻な問題も多く、財務省は、診療報酬は引き下げるが、今年5月末にまとめた政府・与党合意の「緊急医師確保対策」に基づき、地方に必要な医師の確保などは行う方針だ。【須佐美玲子】
毎日新聞 2007年11月5日 20時43分

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本日は目の愛護デーなり

2007年10月10日

10月10日は、「目の愛護デー」。もちろん
一 一
〇 〇
と書いて目の形を想像させるというのが由来である。
これならどこに行っても目の日を選べば10月10日になりそうなものだ。
…… ところが韓国の「目の日」は違うのだという。
10月10日ではなく、11月11日なのである。
一 一
一 一
自覚はしているらしい……

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ご長寿脅迫?

2007年9月14日

白内障手術を考えている患者さんとのありがちなやり取り
患者「眼の中に入れる人工レンズはどれくらい持つんですか?」
私「んー、30年とかいう話もあるので、○○さんが110歳くらいになったらもしかしたら交換するようになるかも知れませんが、実際は…」
患者「いやぁ、先生、そんな怖いこと言わないで。そんなに長くなくていいですよ。もうあと5年くらいでお迎えが来ますから…」
私「いやいやそう思っていても、これが案外なかなかこの世から離れられないことも多いようですよぉ!」
患者「いやぁ、もう勘弁ですよぉ…」

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