ご冥福をお祈り申し上げます

2007年12月16日

佐世保共済病院院長、福井仁士先生がお亡くなりになられたとのこと。ご冥福をお祈り申し上げます。
http://kkrsasebo.blog.ocn.ne.jp/blog/2007/12/post_d157.html
福井先生のブログは、昨年、ドイツの医師ストライキの記事を紹介して下さって以来、ブックマークに入れてありました。
http://kkrsasebo.blog.ocn.ne.jp/blog/2006/05/post_4775.html
ドイツの医師のストライキの記事に関するエントリー、僭越ながら以下にコピーさせて頂いておこうとおもいます。福島県の救急病院医師も、そろそろストライキなど考慮すべき時期ではないでしょうか。
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ドイツで大学病院医師ストライキが続いている
 私は、本年5月にドイツの学会に参加しました。その際、新聞やテレビでドイツの大学病院医師のストライキが9週以上続いていることを知りました。下に示したのは、5月13日のドイツの新聞の第1面の記事です。ドイツの新聞には掲載されているのに、このことについて日本ではまったく報道されていません。そこで、現地で友人のドイツ人医師から聞いたことを含めて私が知ったことを記載します。
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新聞記事の第1面。見出しは、“医師のストライキがエスカレートしている”
 もともと、ドイツの大学病院の医師の待遇は比較的に優遇されていました。しかし、最近は経済状況が逼迫し、次第に給与の締め付けが行われこのストライキとなったものです。友人の話では、大学病院の医師には日本の国家公務員的な立場の医師と、各州が雇用している医師が存在します。前者にはストライキ権がありませんが、後者は医師労働組合に所属しストライキ権が認められています。そこで、後者の医師たちが現在ストライキを行っており、全国の大学病院に波及しているということです。
 現実には、救急患者の手術は行われていますが、予定された手術はほとんど行われていないようです。私が参加した今回の学会でドイツの学会会長の挨拶では、このストライキにより大学での適切な患者さんの医療処置ができず、病院の収益は減少し、患者さんの大学病院に対する信頼感の喪失という事態を引き起こしているということです。給与引き上げを要求する医師労働組合の姿勢は強硬で、このストライキは6月のワールドカップサッカーの時期までも終わらないだろうといっています。
 一方、一般市民や患者の受け取り方についての報道もあります。
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 上に示したのは、被害を蒙っている患者の意見を収録した別の新聞記事です。予定された椎間板手術を2回延期されたり、骨折で受診し数時間以上対応を待たされた患者さんなどの意見が取り上げてあります。その見出しは、“でも、このストライキは正当なものと思う”となっています。これらの患者さんたちすべてではないにしても、ストライキを行っている医師たちに好意的であり、ストライキによる被害に耐え忍んでいるようです。
 上記の記事を見たり、友人のドイツ人の医師の話を聞いて、私なりにいろいろ思うことがあります。まず、ドイツでは毎日といっていいほど新聞の第1面に掲載されている社会現象として重要な記事がなぜ日本には報道されていないかということを疑問に感じました。あえていうなら、日本ではこの件に関して一種の報道管制があるのではないかということです。
 次に、このストライキに対して患者さんを含め一般の市民がかなり寛容な態度を示していることです。おそらく日本で医師のストライキが生じた場合、一般市民はこのような寛容な態度を示さないでしょう。これには、これまでの社会システムの成り立ちに大いに関係していると考えます。日本では、明治維新以来、教育とか医療とかお上から与えられるものでした。この感覚は日本に今でも残っています。しかし、ヨーロッパでは一般市民が下から盛り上げて築き上げてきた経過があります。そのため、大学病院の医療にしろ一般の医療にしろ、市民はその内容をよく報道され理解しているように見受けられます。
 日本でも、現在病院勤務医の労働環境はきわめて悪化しており、ある程度以上経験をつんだ勤務医が次々と病院をやめてプライベートのクリニックを開業し、地域医療に必要な病院の医師不足のひとつの原因になっています。まだ医療問題にはいろいろありますが、日本ではそのような報道が一般市民によく伝わっていないように思われます。医師ストライキに対してドイツ市民が理解し、寛容な態度を示していることに、日本との大きな差を感じました。

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