令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
はじめに
この英文法解説は、理系の理系による理系のための英文法である。外国語は文系科目と思われがちだが、理系の頭を持って暗記だけに頼らない勉強をすれば、理系の人間の方が向いているということを示した英文法である。これまでの英文法解説書と特に違う点は、様々な文法事項にたいして、ネイティブの人達が何を考えながら英語を話しているのかをできるだけ追究した、という点である。そんなことをいわれると、「じゃあ今までの本ではそうではなかったのか」という疑問がわいてくるであろう。そこでまずは次の例文を見て欲しい。
例文1 I married her.
この例文の意味が分からない人は恐らくいないであろう。そして今ではすでにこの例文に何の疑問も持たないかもしれない。しかし昔を思い出してみて欲しい。諸君は恐らく英語の勉強をはじめた頃,この文章がなぜ I married with her.でないのか疑問だったはずである。なぜwithが入らないのかを先生に質問してみた人もいるであろう。ところが大抵の先生はその質問に対して、「それはmarryが他動詞だからだ。他動詞は前置詞なしで直接目的語をとるだろう」というようなことを言うのである。しかしこれは大変いいかげんな説明であって、実は何も言っていないのとほとんど同じなのである。
そもそも他動詞とはいったい何だろう。実は,他動詞とは「前置詞なしで直接目的語をとる動詞」のことなのである。つまり
「他動詞」=「前置詞なしで直接目的語をとる動詞」…(1)
なのである。
さて,先に挙げた「それはmarryが他動詞だからだ。他動詞は前置詞なしで直接目的語をとるだろう」という説明が,如何にいいかげんな説明であるかを,理系らしく代入法で調べてみよう。諸君が理系であれば、等号で結ばれたものを代入しても内容は変わらないことは知っているであろう。そこで、(1)を、先に挙げた説明にの中に代入してみよう。すると
「それはmarryが他動詞だからだ。他動詞は前置詞なしで直接目的語をとるだろう」
が
「それはmarryが前置詞なしで直接目的語をとる動詞だからだ。前置詞なしで直接目的語をとる動詞は前置詞なしで直接目的語をとるだろう」
となるのである。一体これが説明といえるのだろうか? 我々はこれまでこんな詭弁にまんまとだまされて、「ああ、英語は難しい」といっていたのである。言っておくが、ネイティブの人達は自分が使っている動詞が自動詞か他動詞かなんてことを考えながら英語を読んだり書いたりしてはいない。もっと素直な「なにか」を考えながら読み書きしているのである。だから、我々もその素直な考え方を習得すれば、使おうとする動詞が自動詞なのか他動詞なのか考えなくてもよくなるに決まっているのである。