令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
白内障手術は日帰りで良いの?
白内障の手術は、大雑把に言って、目の中の濁りを取って、代わりになる人工レンズを入れるものです。私のいる施設では、歯医者さんのような背中が椅子に座って頂いて手術をしますが、体への負担も、歯医者さんで歯を削るのと大差ないのではないかと考えています。手術を受ける方は、眼にメスを入れるということで、ちょっと怖い感じを持たれて心理的には負担があるかと思いますが、お腹を切ったり骨を削ったりするような手術のような、体への大きな負担はないと考えています。
歯医者さんで治療を受けるのにわざわざ入院するようなことを考えると、ちょっと大げさに思われるのと同様に、白内障手術をするのに入院するというのも、多少大げさなようにも感じます。お腹を切ったので、手術後の様子をしっかり確認し続ける必要があるとか、骨を削ったので、手術後の行動がままならないなどというものとはだいぶ違います。
ただ、手術をした方の眼は、手術の翌日まで眼帯をしたままにするため、手術のあとの帰り道と、翌日の受診までの道のりは、片眼で過ごすことになることが、歯の治療とは異なる点です。ですから、病院で勤務医をしていたときには、私も1泊の入院をお勧めすることが多かったです。
とはいえ、通常は片眼を隠していても、注意して行動すればそうそう変わったことは起きませんから、もう片眼がよほど視力が落ちているとか、足腰が悪い上に行き帰りに付き添いの方がいらっしゃらないなどの特別な事情がない限り、日帰り手術で十分だと思います。
「入院しておくほうが、万が一のときに安心ではないか」と思われる方もいらっしゃると思いますが、白内障手術では、万が一が起きるという事態自体がまずありませんし、また、激痛が起きるとか急に視力が落ちるなどの万が一のことが起きたとしても、眼科医が当直をしていることは余程の大きな病院以外ではないでしょうから、結局は、眼科医が連絡を受けて病院に到着するまでの時間がかかることになります。
それよりも、万が一の事態は、退院後にも起こる可能性があるので、退院後でも万が一のときにタクシーで駆けつけられるように、手術はご自宅の近くで受けられるのが良いのではないかと思います。万が一のときでも交通費は自腹ですから、わざわざあまりにも遠くの眼科に行かれなくても…と思うことがあります。
平成23年6月7日記す。
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