白内障手術の説明

 白内障は、茶色い瞳(虹彩)の裏にある水晶体が濁り、見えにくくなる病気です。
手術では、濁った水晶体を取り除き、水晶体の代わりに透明な人工レンズを眼の中に入れます。
  手術を受ければ、ほとんどの場合良く見えるようになります。ただし、白内障以外の眼の病気や脳の病気がある場合は、それなりの見え方になります。

手術の方法と所要時間

 手術は局所麻酔で行います。白目と黒目の境目付近を3mm足らず切開し、そこから細い筒を入れて、濁りを砕きながら吸い出します。濁りが取れたら人工レンズを入れます。終了直前の目の状況によっては、傷口を細い糸で縫って終了します。
 手術時間は特別な事情がなければ10〜30分です。手術室には準備も含めて30〜50分滞在します。

手術前後の生活

手術3日前

ばい菌止めの目薬を開始します

手術当日

手術終了時に眼帯をし、翌日の受診時まで外しません。

手術後は1時間安静にします。トイレには行けます。

洗顔、洗髪はできません。お風呂、シャワーは控えて頂きます。

手術後7日目まで

数種類の目薬をします。

目に水が入らないようにするため、顔を洗えずおしぼりで拭くようになります。髪は自分では洗えませんが、美容院での洗髪(仰向けで目隠しをして他の人に洗ってもらう)は可能です。

お風呂、シャワーは目に水が入らないように注意すれば可能です。

万が一のときにすぐに受診が出来るように、遠出は厳禁です。

最初の数日間は、寝るときに当て金をして目を保護してもらいます。

手術後7日目以降1ヶ月まで

点眼を続けます。

顔や髪も自分で洗えて、通常の日常生活に戻れますが、激しい運動や海外旅行などは引き続き控えて下さい。控える期間は医師と相談します。

手術後3ヶ月まで

点眼を続けます。本数や回数は徐々に減らします。

 仕事への復帰までには、事務仕事は1〜3日程度、軽労働は3〜7日程度、激しい肉体労働は1〜2週間程度かかります。

 お酒は2〜3日は中断しましょう。タバコはこれを期に止められれば一番いいのですが、そうはいかないでしょうから、少なくとも2〜3日は中断しましょう。

手術後の見え方について

 先に述べたとおり、手術を受ければ、ほとんどの場合良く見えるようになります。ただし、白内障以外の眼の病気や脳の病気がある場合は、期待したほどには良く見えるようにならない場合があります。

 「良くは見えるが違和感がある」という場合もあるようです。手術後の患者さんから「飛蚊症が増えた」、「光の輪が見えるようになった」、「色合いが変わった」などと言われることがあります。ほとんどの場合はしばらくすると慣れるようです。

 手術後には、それまでかけていたメガネが合わなくなる可能性が高いです。メガネの度数が安定するのに1〜2ヶ月かかるので、メガネ合わせはそれまで待ちますが、相談の上で早めに作ることもできます。

 手術を受けて数ヶ月から数年経つと、人工レンズの後ろが混濁して視力が落ちる場合があります(後発白内障)。この場合は外来のレーザー治療ですぐに視力が回復するため、特に心配はありません。視力低下を感じたら早めに受診しましょう。

人工レンズについて

 人工レンズはシリコンやアクリルでできており、メガネやコンタクトレンズと同様に度数がいろいろあります。手術前の検査結果を参考に、手術を受ける方に最も合うと思われるレンズ度数を選びます。ただし通常の人工レンズはピント調節ができないため、見る距離によってはメガネなしでは良く見えません。一般には正視合わせ(遠くを見やすくして近くは老眼のメガネをかける)か、近視合わせ(近くを見やすくして遠くは近眼のメガネをかける)のどちらかを選びますが、多くは手術前と同じにするのが楽なようです。ただし現状では度数の予測精度に限界があり、手術後のピントが予測とは多少ずれる場合があります。その場合はメガネで調整しますが、特に強いご希望があれば人工レンズの入れ替え手術をします。

 なお、近年、遠近両用眼内レンズが開発されています。うまくいけば良いのですが、健康保険が使えないこと、見え方の予測がつかないことなど、問題もあるようです。現在のところ当院では導入する予定はありませんが、問題点についてさらにお知りになりたい方は篠ノ井総合病院のホームページの説明(こちら)などをご覧下さい。

 人工レンズの寿命は30年くらいだろうと言われていましたが、実際にはレンズの寿命が来て交換したという話は聞きません。

手術の合併症について

 手術中や手術後の不具合をまとめて「合併症」といい、世間一般では「医療ミス」と呼ぶものも合併症に含まれます。白内障の手術は安全性の高い手術で、ほとんどの場合大きな問題なく終了します。とはいえ、いかに名医であっても合併症を100%起こさないとは断言ができません。例えば、駆逐性出血という手術中の猛烈な眼底出血は、数万〜数十万人に1人と極めてまれですが、どんなに手術の腕が良くても起こり得ると言われており、起きた場合にはそのまま目が見えなくなる可能性があります。また、手術が無事に終了しても、手術後に目の中がばい菌で化膿してしまう術後眼内炎が数千人に1人あり、この場合もやはり目が見えなくなる可能性があります。その他、手術中に濁った水晶体が眼底に落ちてしまう水晶体核落下や、人工レンズを入れられずに手術を終了する場合など、大学病院等で追加手術が必要になることも、ごくまれですがあり得ます。これらの場合も含め、合併症が起きた場合の治療・治療費は別途必要になります。我々としては、丁寧に手術を行うことによって合併症が起こらないように注意し、万が一合併症が起きた場合には最善の対策をご一緒に考えるよう努力いたします。慌てずに余裕を持って手術を行うことが特に重要と考えており、むやみに手術時間を短くしてそれを誇ることは考えておりません。

※ その他の合併症: 麻酔薬によるアレルギーショック、網膜剥離、眼内レンズ落下、続発緑内障、飛蚊症、羞明(まぶしく感じること)、水疱性角膜症、嚢胞様黄斑浮腫、眼瞼下垂、糖尿病網膜症の増悪、血管新生緑内障 …など

手術を受けない場合

 白内障による見えにくさを改善する方法は手術以外には無いので、手術を受けない場合は見え方はそのままか、あるいは白内障が進行してさらに見えにくくなります。進行を予防する目薬はありますが、絶対的な効果はないようです。ただし白内障は一部の例外を除けば急を要する病気ではないので、手術を延期しても多くの場合は問題ありません。白内障によって別の病気も引き起こされているような特別な場合には、医師の側から理由を説明して、手術を受けることをお勧めすることになります。また白内障が進みすぎると、手術自体が難しくなり合併症が増えることが考えられるので、既にかなり進んでいて今後さらに進むことが予想される白内障では、早めの手術をお勧めする場合があります。

手術の費用

 白内障手術は健康保険が適用されます。 片眼につき入院費を含めて、1割負担の場合は約2万円強、2割負担の場合は約4万円強、3割負担の場合は6万円強です。両眼手術の場合は約2倍になります。入院日数によって数千円の変動があります。

民間保険の保険金

 入院保険などで手術に対して保険金が支払われる場合がありますので、加入されている方は保険会社にご確認下さい。(病名:白内障、手術名:水晶体再建術)

手術後に白目が赤くなることと、ごろごろを感じることについて

 手術後は出血や充血で白目が赤くなったり、ごろごろを感じることがあります。心配なものではなく、通常は1〜2週間で消えます。手術後に赤くなるのを避けたい方はご相談ください。


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