韓国語発音改善講座3

3.現代の「激音」および「濃音」の発音とその発音改善

 さて,「カ」になったり「ガ」になったりする 가と並んで,我々が悩まされるものに,가と 카と 까の弁別があります。我々はその違いをどう習うかというと,「카は激しい呼気を伴う音,까は呼気を伴わない音である」などと習うわけです。ところが,呼気を伴ったり伴わなかったりする 가についてはあまり詳しい説明を聞けないものでした。そこで,前回まではその説明を展開したわけですが,それは要約すれば,ㄱ, ㄷ, ㅂ等の文字は「当該発音器官を閉じろ,それ以外に負担を負うな」ということを示している,従って 「平音」は,だらりと発音する音である,というものでした。

 では,その「平音」と対比した時,「激音・濃音」は,どういう音を表わすのでしょう?
 答えは簡単,「平音」が負担を負わないだれた音であるのに対して,「激音・濃音」は負担を伴う強い音なのです。問題はどう強いのか,ということなのですが,最近顕著になりつつある傾向として,これらの音は「強い」のもさることながら「高音」になり易いことが挙げられます。この現象は特に女性に顕著なのですが,ここではその女性の発音に着目して,もう少し詳しく見てみましょう。

 この「激音・濃音」の高音化は,特に語頭ではっきりします。例えば 타이르다(諭す)は,日本人学習者にとっては真似しにくいのですが,語頭の타が高く発声されます。それはあたかも 타にアクセントでもあるかのような発音なのです。까돌이(ガス配達のおじさん)でも同じく 까が高音になるようです。語頭が「激音・濃音」以外の場合は,語頭はやや低い音で発音されるのが普通です。편지(手紙)とか 천리마(千里馬)とかも同様で,語頭が「激音・濃音」の場合,おしなべて語頭を高く発音するのが普通です。近くにソウルの言葉を話す人がいたらぜひ確認してみて下さい。KBSのニュースでも確認出来ます。

 尤もこの高音化現象は,「激音・濃音」が第二音節以下にある場合にはあまり強くは起きません。語頭から遠ざかるほど弱くなります。それでも,아까(さっき)とか 이따(あとで)など,日本人学習者が第一音節を高く発音しがちな語(それは恐らく日本語のアクセントにつられてのことでしょう)については,意識的に第二音節を高めに発音するようにした方がいいでしょう。その方が相手にも通じ易くなります。

 と,いうわけで「激音・濃音」の発音向上法の第一歩は,「強く,高く発音する」というものです。それは「それ以外の音(ㅅを除く)」を相対的に低く」発音するのに対して「高く」ということです。ただし一つ問題があって,これらは若い人ほど,そして男性よりは女性により強く見られる傾向なので,例えばこれを50歳を過ぎた男性がそのまま忠実に実践すると,おかしいかもしれません。ですがまずは実際に「激音・濃音」を高い音で発音してみて下さい。「平音」との違いをより明確に捉えることが出来るはずです。

 なお,ここに上げた内容は韓国人にはピンとこないようです。彼らは「高い音」という考え方もしないし,「強い音」に対するイメージも我々とは違います。ですからこの内容を韓国人に確認しようとしてもうまくいきません。頼りになるのは自分の耳だけです。皆さんのご感想をお知らせ下さい。

 ところで何故このような高音化が起きはじめたのでしょう?
 ハングル創製当時,朝鮮語には日本語のような「高低アクセント」がありました。そしてその高低は,文字の横に「点」を打って表現されていたのです。ところがその点を打つのが面倒になったのか,はたまたアクセント自体が無くなったからかはわかりませんが,その「点」は,使われなくなりました。そしてその後,我々が朝鮮語を習う時に聞かされるように「朝鮮語にはアクセントが無」くなり,それは「朝鮮語は出来るだけ平板に発音するときれいに聞こえる」という朝鮮語発音教育を生み出すわけです。

(以下は私の推測です。)

 しかし,韓国人が音の高低を出せなくなったわけではありません。せっかく使える音の高低を,どうせなら改めて別の部分に使おう,という無意識的な変化がおきても不思議は無いのではないでしょうか。で,それが「平音」と「激音・濃音」を区別する手段に使われるようになりつつあるのが,現代の朝鮮語の発音上の大変化である,と私は考えるのです。特に語頭の「平音」と「激音」は,どちらも呼気を伴う有気音なので,混同する要素は十分です。ここに音の高低を導入するのは理に適っていると思いませんか?

 もし,私の説が正しい,或は確かに進行中であるとすると,朝鮮語は「音の高低を音素に含む」という面白い言語である,或はそうなりつつある,ということになりますが,言語学素人の私には重い内容なので,ここらへんで失礼します。

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