カテゴリー「司法問題」の記事

高松高等検察庁のホームページが…

2009年3月23日

たまたま閲覧した高松高等検察庁のホームページ
検察庁と言えば、要は犯罪容疑者を選別して起訴する厳しい組織ナわけですが…
http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/h_takamatsu/
タヌキキャラクター「へんろちゃん」がお出迎え。
ブログまである…
そして、各種案内の「刑事事件記録の閲覧・謄写」のページには、
http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/h_takamatsu/annai/kiroku.html
なぜかマウスポインタが常駐…
気になる…

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「わずか半日」で快挙扱いされても…

2009年3月15日

共同ニュースより
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031401000512.html

即日審判で父母の親権停止 家裁、息子への治療拒否で
2009年3月15日(日)02:07
 東日本で2008年夏、消化管内の大量出血で重体となった1歳男児への輸血を拒んだ両親について、親権を一時的に停止するよう求めた児童相談所(児相)の保全処分請求を家庭裁判所がわずか半日で認め、男児が救命されていたことが14日、分かった。
 子供の治療には通常、親の同意が必要で、主治医は緊急輸血が必要だと両親を再三説得したが「宗教上の理由」として拒否された。病院から通報を受けた児相は、児童虐待の一種である「医療ネグレクト」と判断した。
 医療ネグレクトに対しては過去に1週間程度で親権停止が認められた例があるが、即日審判は異例のスピード。児相と病院、家裁が連携して法的手続きを進め、一刻を争う治療につなげたケースとして注目される。
 関係者によると、当時1歳だった男児は吐き気などを訴えてショック状態となり、何らかの原因による消化管からの大量出血と診断された。
 病院は「生命の危険がある」と児相に通告。児相はすぐに必要書類をそろえて翌日昼、両親の親権喪失宣告を申し立てるとともに、それまでの緊急措置として親権者の職務執行停止(親権停止)の保全処分を求めた。
 こうした輸血拒否への対応については日本小児科学会など関連学会が08年2月、合同で指針をまとめており、今回のケースでも病院側はこの指針に従って対応した。

お産の事故の裁判で,裁判所が「緊急時には30分以内に帝王切開できないとならない」という判断をしたことがありました。いわゆる30分ルールです。
今回の場合,救命されたから良かったものの,事態発生から親権停止決定まで半日もかかっています。「一刻を争う治療」なのに重要な決定に半日もかかって,さも快挙であるかのような物言いには強い違和感を覚えます。人命に関わることですので,最初から親権停止手続きを踏まなくても免責となるような法整備をするか,そうでなければ親権停止手続きにも30分ルールのような義務を課すべきだろうと思います。

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尊厳死を認め,人口呼吸器をはずすよう命じた判決。但し韓国で。

2008年11月29日

朝鮮日報より。原文は韓国語。
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2008/11/28/2008112801416.html

[社説] 国会が尊厳死を認める法を作る時が来た
ソウル西部地方裁判所が,脳死状態の75歳女性患者の家族が延命治療を中断するよう病院に対して起こした訴訟で “患者の回復可能性がなく生命維持治療が無意味であり,患者に苦痛だけを与えると判断される”と人工呼吸器を外すよう判決した. 問題の患者は去る2月,病院で気管支内視鏡手術を受けている最中に,肺血管が裂けて意識不明に陥った. 今回の判決は一審ではあるが,回復の可能性のない患者が延命治療なしに人間らしく死ぬことができる尊厳死の権利を認めた初の判決だ.
最高裁判所は1997年,保護者の要求で脳手術患者を退院させたポラメ病院の医師らに対して殺人幇助罪を適用して執行猶予の有罪判決を下したことがある. しかしその後尊厳死を認めなければならないという社会雰囲気が形成されるにしたがって,国内の大規模病院では末期患者が延命治療を受けないという ‘蘇生術拒否(Do Not Resuscitate・DNR) 誓約’をすればその意思を認める制度を慣行的に施行して来た. ソウル牙山病院の場合,毎年 150~200人の末期患者が DNR 誓約を通じて自然な死を迎えている.
今回の場合は,患者が手術の過程で一瞬のうちに脳死状態に陷り,尊厳死に関する自分の意思を明らかにした経緯がないことから訴訟に至った. これに対し裁判所は “患者が 3年前心臓病を病んだ夫の生命延長のための気管切除術(切開術?)を拒否した点と,平素から生命維持装置に依存することは嫌だと語っていたという事実を勘案すると,意識があれば延命治療を拒否したことが推定される”と治療中断判決を下した.
アメリカでは1989年,末期患者権利法が制定された後,不治の病や認知症にかかった時,どの程度まで治療を受けるかについて自分の意思を表明しておく ‘生前遺言(living will)’が活発になった. 日本も尊厳死宣言に署名した人が 10万名を越えると言う. 我が国民も 88%が尊厳死に賛成している.
回復の可能性が全くない患者に心肺蘇生術, 強心剤, 人工呼吸器などの延命治療をすることは無意味だ. 機械装置を何本も体に取り付けて苦痛の中で惨めな死を迎えることを望む人はほとんどいないだろう. 末期患者の蘇生術拒否誓約制度まで一般化しているというのに国会が尊厳死を認める立法をこれ以上先延ばす理由はない. 立法を通じて,どのような状況でどのような方法の治療中断が可能なのかを明確にしておくことが, 法と現実が異なるために生ずる混線を無くす道である.

日本の医療訴訟の判決文をいろいろ見ている立場から考えると,勇敢な判決だと感じました。

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裁判員制度に「責任を押し付けるな」という理屈

2008年11月24日

私は裁判員制度には原則反対なのですが,それでも以下のような「責任を押し付けるな」と主張する活動には「どうかな~」と疑問を持つものです。

裁判員制度反対、各地でデモ 「勝手に名簿載せるな」
 来年5月から始まる裁判員制度に反対する弁護士や市民らが22日、仙台市、東京、福岡市で集会を開き、繁華街などをデモ行進した。反対行動は2月の日弁連会長選で制度廃止を主張した高山俊吉弁護士らが呼び掛けた。28日に裁判員候補者名簿に記載された人へ通知が送付されるため「通知が届いたら、勝手に名簿へ載せたと抗議しよう」などと訴えた。
 約600人が参加した東京都千代田区の集会で、新潟県弁護士会の高島章弁護士は「人を死刑にする権力を国民に担わせる制度だ」と批判し、漫画家の蛭子能収さんも「自由を束縛するので反対」と指摘。
 その後、約250人が銀座などをデモし「裁くことを押しつけるな」などと声を張り上げた。
 福岡市中央区天神の公園には弁護士や市民団体メンバーら約30人が集合。大分県豊後大野市の益永スミコさん(85)は「いや応なしに集められ死ぬまで秘密を守らせる制度は戦中と同じ。もうあんな思いはしたくない」と話した。制度をPRする検察庁のキャラクター「サイバンインコ」に対抗した着ぐるみ「裁判員制度はいらんインコ」も登場。参加者と一緒に天神をデモした。
 仙台市の弁護士会館に集まったのは約90人。東北大の小田中聡樹名誉教授は「裁判官らが主導・管理する司法に国民を強制的に動員し、被告に裁判の受け入れを強制する巧妙なシステムだ」と批判した。
2008/11/22 19:05 【共同通信】

日本国民として,それなりの義務があってもそれを一概にダメといっていては,そもそも国が成り立たなくなる場合だってあります。「人を死刑にする権力を国民に担わせる制度だ」と言っても,そもそもそのような権力は建前上国民の同意の上に成り立っているわけでして。
私が裁判員制度に反対する理由は,「先入観なく証拠を判断したり量刑を決めたりする裁判官の仕事は,簡単なものではない。長年の訓練を受けてようやくできるものであり,そこに一部とはいえ一般人が入って判断を任せることは,判断の誤りを招く原因になる。」というものです。付け加えるならば,「専門職である裁判官に失礼な結果につながるのではないか」というものです。
私は裁判員制度ができるくらいならば,医療にも医療員制度を創設して,一般人からくじ引きで医療チームに入ってもらい,医療の一部を担ってもらえばいいだろう,と思っているのですが,普通に考えればそんな制度は医療者も国民もまっぴらごめんだと思うでしょう。裁判員制度もそれと同様に思います。ただ,それが単に「責任の押し付けはやめろ」といわれて反対されることには,どうにも同調ができません。

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医療裁判・医療訴訟
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