先天性鼻涙管閉塞症に対する先天性鼻涙管閉塞開放術について

2012年10月17日

眼から鼻に抜ける涙の通り道(鼻涙管)が塞がっていて、涙の排水ができないために眼から涙があふれる状態です。涙がよどんで目やにも出やすい状態です。

先の丸い針でその通り道を貫通させることにより、涙の排水が正常になり、涙や目やにの症状を改善するようにします。

● お子さんが動かないようタオルでぐるぐる巻きにして、痛み止めの目薬をさして行います。見学は可能ですが、見た目が痛々しいのであまりお勧めしません。

● 治療当日、涙に血がにじむ場合があります。

● 治療後、3日間程度ばい菌止めの飲み薬を飲ませ、数週間の間、ばい菌止めの目薬を続けて目がしらをマッサージして頂きます(涙嚢マッサージ)。さらに目薬を追加する場合もあります。

● 治療後数日以内に受診して頂きます。

● 見えない部分を手探りで行う治療であるため、必ず成功するとは限らない点を特にご了承ください。1回の治療での成功率はだいたい8割くらいと考えています。

● 2~3回治療をしても成功しない場合、他の医師に交替することが良いと考えています。医師によって治療の手つきが違うため、ある医師では成功しなくても、別の医師では成功する可能性があるからです。

● この治療を受けなくても、1歳頃までに鼻涙管が自然に、あるいは涙嚢マッサージだけで治る場合も少なくないと言われています。そのためこの治療を何ヶ月目ですべきかについては医師によって意見が大きく異なり、中にはひたすら待つべきだと考える医師もいます。ただし、大きくなっても治らない場合、押さえつけて治療することが難しくなり、全身麻酔を要する可能性が高まります。押さえつけて治療されたことが、心の傷(トラウマ)として残る可能性も高くなると考えられています。また、治療完了までの間に、ばい菌が溜まって涙嚢炎を起こすこともあります。1歳までに自然に治る確率は、はっきりした統計はありませんが、7割くらいではないかと考えています。

● 以上を踏まえて我々は、生後3ヶ月~12ヶ月までにマッサージを試しても治らなかった場合は、一度はこの治療を試すのが良いだろうと考えています。

このエントリーをはてなブックマークに追加

眼科説明書一覧へ | 君の瞳に恋してる眼科へ